2009年10月21日

2009年10月21日の更新状況

2009年10月21日の更新状況
『魚話その158』をアップしました.
なんと2ヶ月ぶり…見捨てないでね…

2009年08月01日の更新状況
『魚話その157』をアップしました.


2009年07月26日の更新状況
『魚話その155』の調理写真が鬱陶しいので,レシピ画像に変えました.


2009年07月25日の更新状況
『魚話その156』をアップしました.


2009年07月19日の更新状況
『魚話その155』をアップしました.
























ご意見・ご感想・タレコミ等お待ちしております。
なんでもいいんで(前向きな)レスポンスがほしいです。
※ご指摘受け付けますが、できればソース込みでお願いします。
あと、公開していいネタをお願いします。





E-mail
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魚話その158 スピィド違反?

●バショウカジキを撮影してきた


こまめにチェックしているサイトの一つに,非公式水族館ガイドというサイトがある.
日本各地の水族館の新着ニュース情報をまとめて公開しているサイトで,企画展や新公開などの情報を収集するのに重宝するのである.

シルバーウィークなる連休の直前,そのサイトにて,以前このブログでも紹介したことがある『アクアマリンふくしま』でバショウカジキ公開の情報が.
バショウカジキといえば,鋭く伸びた吻(口先)と大きな背ビレを持っている,ちょっと変わった魚だ.
イラストやテレビなどでカジキの仲間は目にする機会が意外とあるのだが,実は生きたままの状態で飼育するのは大変難しいようで,アクアマリンふくしまが恐らく世界初の長期飼育成功らしい.
というわけで半日の休暇を工面し,コンデジ片手に眠い目を擦りながら始発列車に乗り込み,片道4時間弱,撮影時間3時間の取材に出かけたのであった.


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図1.バショウカジキ(クリックして拡大)


さて.
バショウカジキといえば遊泳速度が非常に速い魚としても知られているが,実は遊泳速度の表現方法がいくつも存在する.
まず人間に置き換えるところの,短距離ダッシュと徒歩.
水族館の魚もそうだが,フラフラと泳いでいる時と,餌や敵などを見つけたときのダッシュする時とで泳ぐスピードを変えている.
専門用語では前者を突進速度(もしくは瞬間最大遊泳速度),後者を巡航速度という.
他にも維持速度やら耐久速度やらあって,専門のヒトの間ではきっと厳密な区分があるのだろうけれど,ここでは概要なので省略.


動画1.通常の遊泳


動画2.捕食時の遊泳(結構レア?)


全速力で泳ぎ続けるのは体力消耗につながってしまうのだ.
そして,もう一つが速度の表現方法.
人間と違い,体のサイズがミリメートルからメートルに渡る魚では,『●●cm/sec(秒速●●cm)で泳ぐ』と言う一律表現方法が使いやすい場合とそうでない場合がある.
例えば,『メダカとジンベイザメ,どちらが効率よく泳ぐのか?』を表現したい場合,数センチのメダカが一動作で進む距離とジンベイザメのそれとでは大きく違う.
そんな時便利なのが,BL/sec‘体長あたり’と言う表現方法.

テレビ番組で人間vs. 動物の能力比べみたいな企画をやる時に,全部人間サイズに合せたりするが,要は同じ理屈である.
難点としては,1体長あたりという表現は相対的な表現なので,相手に伝わりにくいことがあると言うことか.
ちなみに,実際に計算するとしたら,体長や体表面の構造も異なるため水の抵抗や粘性も異なるだろうから,実際はどちらが効率よいのか知らないが,あくまでイメェジということでご勘弁を.

最後に.
コンデジでまともに撮影しようとすると,バショウカジキやマグロなどの『泳ぎ続ける系』の魚は結構難しい.
鉄道写真好きも使う手法で,流し撮りといって手動でカメラを動かし,魚にピントを合せ続ける方法もあるが,手ブレと同行者の視線がネック.
しかし,アクアマリンふくしまではバショウカジキの撮影スポットを見つけてしまった.
それが図2のスポット.
(注:もちろん日によって異なる可能性が高いことは言うまでもない.)


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図2.バショウカジキお奨め観察スポット


どうも壁側から水流が来ているのか,単にターンの為なのかは不明だが,一旦スピードを落とし,背鰭を広げてからターンしてくれる.
人目さえ気にしなければ,結構いい確立で背鰭まで観察できると思う.
願わくは長生きして欲しいものだ.


引用文献
魚類生理学の基礎(会田 勝美 編 恒星社厚生閣)第1版 p113-114


今日の魚
バショウカジキ( Istiophorus albicans
メダカ(Oryzias latipes
ジンベエザメ(Rhincodon typus


参考サイト
アクアマリンふくしま
非公式水族館ガイド
posted by osakana at 21:58| 埼玉 晴れ| Comment(0) | TrackBack(0) | 魚話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月24日

さてさて

残暑お見舞い申し上げます

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いろいろと実験と書き物が立て込んでて更新がままならないのですが,こちらの記事も現実逃避がてらちまちま書いてますよぉ〜
posted by osakana at 23:31| 埼玉 曇り| Comment(0) | TrackBack(0) | 筆者からの連絡 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月01日

魚話その157 ドルフィン喰らい

●シイラあれこれ

そろそろ夏本番か.
行きつけの魚屋にも夏の魚がならび始めた.
ところで,様々な魚偏の漢字が存在するが,実はPC内の辞書には,鰍(カジカ),鮗(コノシロ),鰆(サワラ)という字は存在すれど,魚偏に夏という字は存在しない.


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しかし,大和本草という江戸時代の書籍には


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『ハエ(ハヤのこと):いろんな川におり,白ハエやら赤ハエやらアブラハエやら仲間もいっぱいいる.この字を‘ハエ’と読み,万葉集にも載っているが,詳しいことはよく分からない.また,倭名抄には別の字を‘ハエ’に充てているが,こちらも詳しいことはよく分からない.(意訳)』
と記されているように,古くはハエやハヤなどの読みが与えられていたようだが,とりあえず他の三文字とは知名度が異なるようだ.

さて.
魚偏に夏は残念ながらメジャーではなかったが,代わりに‘夏’から連想して‘暑い’が付く漢字,(シイラ)でも紹介しようか.
シイラは以前写真を掲載したことがあったが,ネタとして扱うのは今回が初になるようだ.


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写真1.シイラ



シイラと言えば海でルアーフィッシングをする人の間では結構有名だが,意外と食卓に上ることは少ない.
鮮度(味覚)低下が早いのが原因とされているが,実際はどうなのだろうか?
僕は行きつけの魚屋で,80センチくらいのシイラを500円程度で入手し,刺身以外の様々な調理を試みているが,そんな不味くはないと感じる.


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写真2.シイラ・カレー



後で触れるが,一応シイラの名誉のために書いておくと,ハワイでは高級魚だ.
捌きついでに,全身骨格標本も作ってみた.
なぜか除肉中の写真しか見つからなかったので,後日差し替え予定.
写真3aからも分かるように非常に脂がきつく,あっという間に茶色く油焼けしてしまう.
ベンジンやキシレンなどできちんと脱脂すればいいのだが,こんなに大きな骨格標本を浸すだけの設備と資金がないので,今回はパス.
口の中を覗くと,なんとまぁ舌にまで歯が生えている.


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写真3.a:全身骨格,b:口蓋(口の上側)の歯状構造,c:舌にある歯状構造



ギーガー的なウツボの咽頭歯や,一撃必殺系ハモの歯とはまた違った獰猛さを感じる.

話は変わって.
シイラには‘万引き(まんびき)’‘,‘久万引き(くまびき)’‘,‘死人喰らい’等々の変わった異名が多い.
そりゃあアナハゼの‘チンポダシ’だっていろんな意味でインパクトがあるが,恐ろしげな印象においては‘死人喰らい’には敵わない.
結局のところ,海上の浮遊物に集まっているため上記のような異名が付けられており,‘久万’も‘大量の’という意味が転じ,浮遊物の周囲に群れている様子に由来すると言う.
この性質が英名にも反映されており,こちらの寄り添う相手は違うのだが,イルカ同様ボートに併泳する様子から,Dolphin fishと呼ばれている.
一方,黄金に輝く魚体から,スペインのようにDorado(黄金.エル・ドラドのアレね)と呼ばれたりもする.
死ぬと一気に退色してしまうので,引きこもり系の僕にはなかなか撮影の機会がない.
昔シーラカンスのシンポジウムを見に行ったついでに訪れた水族館での写真が唯一か.
それでもテレビや雑誌で見る’活きの良い’シイラの鮮やかさとは雲泥の差だ.

ちなみにハワイではmahimahi(マヒマヒ)と呼ばれ,巨大ハンバーガーの有名店,KUA`AINA(クアアイナ)のマヒマヒ・サンドは恐らくシイラの肉が使われている(いた?)ものと思われる.


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写真4.a:KUA`AINAのテイクアウト用ケース(ペットボトルは500ml),b:アボカドバーガー1/2 lb,c:マヒマヒサンド,d:マヒマヒサンドの中身



残念ながら,国内の店舗にしか行ったことがないし,そもそもこのサンドに使われているのが,シイラなのかシイラに似た味の魚なのかを判断することはできない.
自分,味音痴ですから…


今日の魚
シイラ(Coryphaena hippurus


参考文献
大和本草(貝原益軒,中村学園蔵書)巻十三,四頁
Reef and Shore Fishes of the Hawaiian Islands (John E. Randall, niversity of Hawai‘i Sea Grant College Program)
posted by osakana at 00:06| 埼玉 雨| Comment(0) | TrackBack(0) | 魚話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月25日

魚話その156 超さめざめとむせび泣けぃ! その3

●古文献に登場するチョウザメ


前回までのあらすじ
チョウザメを買った僕は,サメと似た外見を適度にぬるく観察し,味音痴なりにがんばって料理してみたのであった…

唐突に更新を再開してみたら,土用の丑の日ネタだった『魚話その155』
なんか総集編やらベスト盤でお茶を濁した気分だ.
あれ?最終回が近いのか?
…いや,単に実験やら行事やら業務が重なっただけで,更新ができなかったのが真相.
気分次第で更新しているだけでそんなことはないで、ごく一部の読者の方,ご安心を.

さて.
今回はもうちょい魚ネタっぽい話.
チョウザメを自分の携帯やPCで変換してみて欲しい.
僕のPCでは‘ちょうざめ’は‘’と‘蝶鮫’に変換される.
これ以外の漢字が当てられていることは珍しいのではなかろうか…

ところで,ちょいと前に,東京大学の臨海実験所に展示してあった古い魚の絵が,実は『衆鱗手鑑』という,現在行方不明になっているレア魚本であったというニュースが流れた[3].
実は僕も見たことがある.
ガラスケージに入っているそれを見て,『欲しいなぁ…』とは思ったことがあったが,まさか….
その衆鱗手鑑を鑑定した磯野直秀・慶応大学名誉教授の名前で検索したところ,魚譜等々に関する,様々な本草書籍に関する論文が出てきた.
その中の一報,『珍禽異獣奇魚の古記録』という,珍しい動物を見つけた報告書の総まとめ論文に,結構な頻度でチョウザメが登場することが判明.
確かに,江戸時代に描かれたチョウザメは怪物じみており,そんなイラストと共に報告を受けりゃ,そりゃ相当話題になるんじゃなぁなかろうか.


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図1.異魚図賛に登場する『ざうぶか』(チョウザメ)


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図2.異魚図賛に登場する『ざうぶか』(チョウザメ)2



そこでふと思い,自宅のお約束古書籍こと『倭漢三才圖會』『本草綱目』等々を調べてみると…何やらそれっぽい記述.
例えば,倭漢三才圖會の『フカ(サメの一種)』には


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『背中に3列の甲状の骨がある(意訳)』



といったサメには見られない特徴に関する記述が見られる.
シノノメサカタザメのように表面がゴツゴツして細&厚身のエイを指している可能性もあるが,倭漢三才圖會のイラストを見る限りでは,普通のサメ型だ[11].


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図3.倭漢三才圖會のフカ(長野電波技術研究所の使用許可を得ています)



普通のサメはこんなに目立つ突起物はない.
しかし,鰓はきっちりと5列開いている(チョウザメは1列)ので,サメとチョウザメのハーフのような生物になっている.

一方,『シビ(マグロ)』のページには

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『鮪もまたチョウザメの仲間で,鱗はなく,長い鼻,下向きの口,鎧甲のような頭,髭がある(意訳)』


という記述がみられる.

同様に,大和本草でも鮪がチョウザメを表すことを言及している[9].

さらに,倭漢三才圖會などの重要な引用文献である,中国の本草綱目の同じ文字にも,

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『体長6〜10m,体は灰色で3列の甲状突起を持つ(意訳)』


とあり,やはりチョウザメの特徴を示している[7][8].
実は他にもカジトオシ(カジキ)等々いくつも見出したのだが,文章が長くなるので,省略.

ただし,それがチョウザメっぽいことは分かっても,各々の文字とチョウザメの種類を対応させるのは素人判断では厳しい.
そこで,魚の漢字に焦点を当てた文献をあたると,さらに細かな情報が.
前述の例では省略した漢字を含めてまとめると下記のようになる.


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図4.チョウザメを表す漢字とその分類(クリックすると拡大)



『魚話その128』『魚話その129』同様,日中×新旧で文字の混用が見られるようだ.

ところで,本草綱目でチョウザメを調べていたら,

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『龍門を遡り,龍となる(意訳)』


という一文を発見.
ん?
龍門とくればコイではなかったか?
というわけでざっと調べてみたところ,『三秦記』という中国の古書籍の前後でチョウザメからコイ変わったようだ[5].
確かにゴツゴツした外見・大型・強い水流をものともしない遊泳を見れば,伝説の竜への発想も容易に納得できる.


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図5.栗氏魚譜に登場するチョウザメと思われる絵画



現在,数多の魚ネタウェブサイトがあるが,このブログを含め,大半は趣味的にただ垂れ流している感が強い.
ここはやはり,差別化を図り,気合いを入れた方が良いのだろうか…?
いや,やはり趣味の範囲で,たまにどこのサイトも紹介してないような情報を出す方が面白い…か.
このブログを再編集し,紙媒体化したいところだが,夢のまた夢….


今日の魚
ダウリアチョウザメ(Huso dauricus
カラチョウザメ(Acipenser sinensis
ハシナガチョウザメ(Psephurus gladius


参考文献
[1]異魚図賛(国会図書館貴重書画像データベース)
[2]魚偏漢字の話(加納喜光,中央公論新社)
[3]失われた幕府献上魚図の発見
[4]図説魚と貝の事典(望月憲二 柏書房)
[5]珍禽異獣奇魚の古記録(磯野直秀 慶應義塾大学日吉年報)
[6]本朝食鑑(東洋文庫)
[7]本草綱目(国会図書館貴重書画像データベース)
[8]本草綱目・啓蒙(長野電波技術研究所蔵書)
[9]大和本草(中村学園蔵書)巻之十三 三十八頁
[10]栗氏魚譜(国会図書館貴重書画像データベース)
[11]倭漢三才圖會(長野電波技術研究所蔵書)
posted by osakana at 22:17| 埼玉 曇り| Comment(2) | TrackBack(0) | 魚話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月19日

魚話その155 ぎーうなりょうり

● ウナギの料理あれこれ


前回の予告通り,ちょっとチョウザメの話は一回お休み.
…とあたかも普通に書いているが,前回の更新から2ヶ月経っているのもまた事実.
いろいろな事情があったと思ってくだされ.

さて.
本日は土用の丑の日.
正確には夏土用の丑の日で,詳しくは『魚話その17』あたりに書いたので,今回は省略.
本来ならばもうちょい前にアップすれば良かったのだが,今年は二の丑といって7月31日にも丑の日が来るので,それを見越したアップにしておこうか.

土用の丑の日と言えばウナギの蒲焼きを食すことが多い.


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写真1.ウナギの蒲焼き


しかし,酒を呑むようになってからは,ウナギの肝焼きやら白焼きの方が好きになってきた.


写真2.ウナギの肝焼き



写真3.ウナギの白焼き


どうも僕の中では肴度が高いものが好物になる傾向があるようだ.
話が逸れた.
以前『魚話その11』で‘蒲焼き’の由来はぶつ切りにしたウナギを串に刺したもので,その様子が蒲(がま)の穂に似ていたためと書いた.
しかしその味までは未チェックだったのもまた事実.
偶然にも,未調理のウナギを入手する機会に恵まれ,これはチャンスと思い,‘現在の蒲焼き’以外の調理法を試してみることにした.

何はともあれ,まずは塩焼きで味をチェック.


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写真4.ウナギの塩焼き


皮は固く,剥がして食したが,いわゆる普通の魚の塩焼きに,ウナギのちょっと甘いような香ばしいような風味が加わった味であった.

『ウナギの科学』では‘皮が固く,生臭くて,蒲焼き以外の調理法ではちょっと…’というようなことが書いてあったが,意外とイケることが分かった.

そこで,趣向を変え,元祖蒲焼きも作ってみることに.
味付けは不明なので,かるく塩をふり,先端を尖らせた割り箸に刺して,鈴鹿家記を思いつつガスコンロで焼く…


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写真5.元祖蒲焼き


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写真6.皮を剥がしたところ


塩焼きで既に味は確認済みだったが,何か珍しい串焼き料理を食べている感じがして新鮮だった.

次にちょいと趣向を変え,炒めてみることに.
味覚音痴の僕が作る,完全なる創作料理なので,味の保証はできないが…

sb15514.jpg写真7.ウナギの豆板醤炒め


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写真8.ウナギの豆板醤炒めのレシピ(画像クリックで拡大)


ご飯に合うのだが,蒲焼き文化の影響だろうか,何か背徳感を感じるのもまたしかり.

そういえばスペインにアンギュラスなる,ウナギの稚魚(もうウナギの形をしている)を使った料理があるのを思い出した.
ウナギと言えばレプトケファルス幼生という,柳の葉のような姿の時期を過ごすことが知られている.
それらをお目にかかることは難しく,しかも水産資源としても重要なので,入手することはできない.
しかし,似たような形のアナゴもウナギ同様にレプトケファルス幼生という期間を経ることが知られており,アナゴの幼生は‘ノレソレ’と呼ばれ,高知方面で食されている.
そのノレソレを行きつけの魚屋で入手したので,ついでに載せてしまおう.


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写真9.ケースに入ったアナゴのレプトケファルス幼生(ノレソレ)


パッと見,『魚話その』で紹介したシラウオに似ているが,パッケージから取り出すと,形の違いが分かりやすい.


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写真10.アナゴのレプトケファルス幼生


厳密にはウナギでもないし,料理に使うステージも違うのだが,購入してちょいと時間が経ってしまったので,オリーブオイルとニンニク,塩コショウ,赤ワインで調味してみた.


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写真11.ノレソレの炒め物


味は悪くなかったが,歯ごたえがほとんど無く,ふやけたうどんを食べている感じ.
やはりノレソレは生の方が良いようだ.

最後に,都内のウナギ料理店,登亭(のぼりてい)が,‘うなぎに合うお茶’を独自ブレンドし,それを販売しているとの情報を得たので,早速購入.
美味しゅうございました.


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写真12.登亭のほうじ茶
posted by osakana at 20:17| 埼玉 雨| Comment(1) | TrackBack(0) | 魚話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月06日

魚話その154 超さめざめとむせび泣けぃ! その2

●チョウザメを食べてみる


今回は中身.
まずは食物用に調達したメスでガシガシと捌く.
本来なら包丁を使うシーンだが,骨格標本も作りたいのと,チョウザメの骨格は軟骨なので,包丁よりも小回りが利くメスが便利なのである.
包丁も併用することが多いが,ペンナイフと同サイズのメスだけでも1mくらいの魚は捌ける.
あ,これを読んだメス所持学生諸君,迂闊に真似しないように.
僕のは実験使用後のメスではなく,ちゃんと未使用品を一本用意しているのだ.

捌いた肉は,珍食愛好家達と分配したので,意外と取り分は少なかった(全部僕の自腹なのだが).

ちょっと料理するタイミングが得られなかったので,冷凍庫にポイ.
しかし,我が家の冷凍庫は既に珍魚のフィレ達がカオスを形成しており,わずか数日の保存なのになかなか見つからぬ.
勝手に借りている冷凍庫などを含めると,一般家庭用冷蔵庫丸ごとの容量分(←冷凍スペースだけではない)の冷凍貯蔵物があるのだ.

カオス
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で,ようやく見つけた凍結フィレ.

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解凍すると,改めてそのヌメリの強さに気付く.

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皮も固いし,皮剥きはケガをしないように注意が必要だ.

さて.
初めての魚は,塩焼きにして食べることにしているが,全部塩焼きにするのも勿体ないので,冷蔵庫の中身とご相談.
出てきたのはキャベツとマイタケ.

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これらと炒めればよいか…
まずはフィレを一口大に切る.

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小麦粉をまぶし,フライパンで焼く.

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ざく切りにしたキャベツ,マイタケ,酒の順に炒め,先ほど焼いたフィレと生姜,豆板醤,酒,オイスターソースを加えてさらに炒める.

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で,完成.

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塩焼き
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炒め物
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塩焼きは,ちょっと堅めで風味を強くした銀ダラという感じ.
炒め物は,獣肉に近い歯ごたえ.
風味は魚なのだけれど,噛み切りやすい獣肉が具材に加わっている感覚なのだ.
ただ,この風味,冷めたらちょっと…
刺身でもイケるとのことなので,調理法によりけりということなのだろう.
いやしかし,出来立ては美味い.
キャビアだけがチョウザメじゃぁないのではなかろうか.
ただ,僕は味音痴味に寛容であることも付け加えておきたい.

ちなみに図鑑以外でチョウザメを扱った書籍というのは意外と見つかるもので,僕の本棚からは,開高健の『オーパ,オーパ!!』,末広陽子の『私はチョウザメが食べたかった』などが見つかった.
両者とも美味い不味いの両方が書かれている.
風味が強いので,種差・条件を如実に反映してしまうのだろうか.

古書では,『松前志』,『栗氏魚譜』,『異魚図賛』,『阿淡産志』,『紫藤園海鯊図』,『本草写生図譜』にチョウザメの記録があるという.
国会図書館のサイトで閲覧可能な『栗氏魚譜』と『異魚図賛』を調べたところ,なにやらゾウの鼻のような吻と,やたらといかつい鱗を持った魚が描かれていた.
チョウザメと『特徴』を共有しているのだが,どこでどう伝言ゲームを間違えたのやら…という感じで面白い.
また,『和漢三才図会』や『本草綱目』,『本朝食鑑』でもそれっぽい記述が出ているのだが,マグロやカジキとの混同が起きている.
京極堂よろしく内容を解体すれば分かるのだろうが,それはまたいつかの機会に…と思ったら,同じようなことを考えていた人がいた.
う〜ん.
後手後手だなぁ….
でも機会があれば次回,もしくは一回違う魚話を挟んで次々回くらいには紹介したいところだ.


本日の魚
アムールチョウザメ(Acipenser schrenckii)


参考文献
オーパ、オーパ!!アラスカ篇 カリフォルニア・カナダ篇 (開高健 集英社)第1版 P378-379
私はチョウザメが食べたかった (末広陽子 河出書房新社)第1版 P357-359
磯野直秀 (2005), 珍禽異獣奇魚の古記録, 慶応大学日吉紀要・自然, 37号, 33-59
posted by osakana at 11:51| 埼玉 雨| Comment(0) | TrackBack(0) | 魚話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年04月28日

魚話その153 超さめざめとむせび泣けぃ! その1

●サメとチョウザメ


タイと名前が付くと有り難みが増すのか,アマダイやらキンメダイやらマトウダイなど形や類縁関係は違えど●●ダイと呼ばれる魚は多い.


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図1.マトウダイ


似たような・・・というか,同じような例としてサメがある.
いや,●●カジカやら◆◆ハゼやら,類縁関係を跨いで名称が付いている例は他にもあるのだが,ええい,今回はサメなのである.

サメではない●●ザメには,コバンザメとチョウザメがいる.
前者は背ビレが変形してできた吸盤で,サメを始めとする大きな生き物にくっつくそのユニークな生態から,‘ちゃっかりもの’として紹介されることが多い.
対して,チョウザメの場合,テレビなどのメディアでキャビアの話題抜きにチョウザメが紹介されるのは,まぁ,あまりない.
飼育条件もなかなか一般家庭では満たしにくいので,魚体の馴染みの低さに拍車がかかる.

そんなわけで,今回はチョウザメに焦点を当ててみた.

チョウザメはサメやらエイやらが属する軟骨魚類ではなく,‘普通の魚’が属する硬骨魚類である.
厳密には,硬骨魚類の中でも,‘ホントーにフツーの魚’である真骨類というグループではなく,軟質類というグループに含まれている.
熱帯魚好きの間で,いわゆる‘古代魚’と呼ばれるカテゴリーの一員と言えば良いか・・・しかし,‘真骨類’よりも古いのは確かなのだが,どうも‘古代魚グループ内’での類縁関係がしっくりこないようで,文献を漁っていると,ちょこちょこ更新されている.

さて.
とりあえず実物を出さにゃあ話は始まらんということで,チョウザメの養殖場から血抜きしただけのチョウザメを注文(※本当は鰓や内臓を抜いたものを送ってくれる).
小型の個体を注文したとはいえ,80センチ近くあり,明らかに一般家庭向けではないサイズの発泡スチロールが届く.

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図2.届いた箱(葉書と比較)


今回購入したのは,アムールチョウザメ.
小型の個体を注文したとはいえ,80センチ近くあり,明らかに一般家庭向けではないサイズの発泡スチロールが届く.

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図3.アムールチョウザメ(a;側面,b;腹面,c;背面,スケールは10cm)


水族館では何度も見たことがあるが,目の前で今まさに捌かれんとするチョウザメは始めて.
確かにサメを冠したくなる気持ちは分かる.
全体的な形状もさることながら,尾鰭(おびれ)の形が明らかに通常の魚ではなく,サメのそれである.

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図4.尾鰭の比較(a;アムールチョウザメ,b;ドチザメ,c;シイラ)


一瞬現在の魚類学を疑いそうになるが,確かに細部は違う.
まず,顔面.
よく見ると口に歯がない(図5a).
また,鼻の下に4本のヒゲがある(図5b).

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図5.アムールチョウザメの顔面とヒゲ(a;腹面より,b;左斜め前方より)


加えて,口が伸びる.

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図6.アムールチョウザメの口(a;収縮時,b;伸長時)


さらにエラブタもある.
サメの仲間はエラブタを持たず,5〜7本のスリットから水が抜けていくのである.

次いで胴体.
鮫肌と言われるように,サメはトゲ状の鱗(うろこ)を持つが,チョウザメにはそれがない.
代わりに,魚話その136 で紹介したガーの鱗と同質の,ガノイン鱗と呼ばれる硬質の鱗を持つ.
ただし,ガーと異なり,鱗は全身を覆っていない.
余談だが,この体表面に広がる鱗こそチョウザメを‘蝶鮫’たらしめている.

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図7.チョウザメの鱗(a;全身における鱗の分布,b;上図の内の拡大図,c;鱗,スケールは5mm)


じ〜っと見ていると,なんとなく蝶の形に見えないだろうか?
鱗だけ取りだしてみると,確かにガーの鱗にそっくりだ.
ちなみにこれ,刀剣類の装飾にも使われており,菊綴(きくとじ)と呼ばれている.
房飾りにも‘菊綴’があるが,どういう課程を経て同じ名前で呼ばれるようになったのかは,ちょっと調べきれなかった.
まぁ,引っ張りたいところだが,チョウザメがサメとは違いそうだというネタを,なんとなく消化したところで,今回は終了.

次回,そのお味に迫る!?



今日の魚
コチョウザメ(Acipenser rutbenus
シイラ(Coryphaena hippura
ドチザメ(Triakis scyllium
アムールチョウザメ(Acipenser kikuchii
ベルーガ(Huso huso
マトウダイ(Zeus faber


参考文献
古代魚を飼う (小寺春人 他 マリン企画)第1版 P68-69
図説魚と貝の事典 (望月賢一 柏書房)第1版 P256-257

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2009年03月20日

魚話その152 ぶろっほっほっほ(後編)

●左向きであること


ようやく最後.
だいぶん空いてしまい,気付けば,5回分くらいのネタの取材が済んでしまった.
まずはウェブ上で見つけた『魚図鑑に左向きが多い理由』なぞ.

理由1.最初の本格的な魚図鑑(Blochの図鑑)が左向きだった
…お手本図鑑として重宝され,皆がそれに倣ったという説らしい.

理由2.文字の記述方向に合わせた
…記述方向に頭を向けると,『流れ』を感じさせることができ,日本は(縦書きだと)右→左へ書くので頭が左になる.

理由3.本の綴じ方にあわせた
…理由2同様に和書は右綴じが多いので,頭が左側だとページ進行に沿っていて『流れ』を感じさせることが出来る.

理由4.食事の盛り付けが左向きだから
…日本の魚は基本的に左向きであり,それに合わせると違和感がない.

理由5.右利きの人は頭を左から描く方が楽
…最初に大事な部分(=頭)を描き,その後細かいパーツが無い体へと流れるその動きには,右利きの場合,左から書き上げていく方が楽という説.

理由6.心臓の位置が左寄りだから
…心臓が左に寄っているので,左側面を解剖した方が観察しやすい.

この6つが有名どころか.
いずれも『ああなるほど…』とうなずける説明ではあるが,実際は,図鑑の左向きは日本だけではない.
しかも現在よりも西洋の文献が浸透していないであろう江戸時代の書籍を見ても右向き描写が存在したり,欧米系の書籍における左向きの説明ができない.


栗氏魚譜2.jpg
図1.左向きに描かれた,江戸時代の魚図鑑(栗氏魚譜;クリックすると拡大)


栗氏魚譜1.jpg
図2.同じ図鑑の中で右向きに描かれている魚(クリックすると拡大)


さらに,数えるほどの魚種しか調べてないのでそんなに大きなことは言えないが,魚類の心臓は、『明らかな左寄り』と言うよりは正中線に沿っている気がする.
図3は夕食のために捌いていた魚を撮影したものだが,苦手な人は注意されたし.
もっとも,心房・心室がそれぞれ左右にずれている種もいるので,それを踏まえてのことだろうか?
ただし,心臓をひとかたまりとして見れば,やはり真ん中にあると言えそうだが….


心臓の位置.jpg
図3.腹側から見た心臓の位置(a.ワカサギ,b.ウナギ,c.キチジ;スケールバーは5mm;クリックすると拡大)


状況はそんなに単純ではなさそうだ.

魚の向きと実生活を考えてみる.
食生活や利き手など,生活習慣のような直接図鑑制作に関係がない部分に刷り込まれている可能性は高い.
ナイフとフォークを使う場合も箸を使う場合も,魚を押さえつけるのは利き手と逆側であり,裏返すにしても押さえつけるにしても,胴体と密にくっついている頭の方が,尻尾よりもしっかりと掴みやすい.
右利き人口は5倍近く多いとされており,(家庭料理レベルで)盛り付け方向に決まったルールが無い場合,尾頭付きの魚は頭を左向きにしておいた方が無難ではなかろうか.
また,右利きの人間が筆を左から右へ動かすことは,描いた部分を手で擦る頻度が低くなり,イラストが汚れるのを防ぐことが出来るので合理的だ.
まぁこんな感じの経験が著者に影響を与えた可能性はないだろうか.
もっとも,どっち向きで描いても良いという状況になった時に,『じゃあ…左向きかなぁ…』程度の効果しか想定していないが.

ところで,情報量の多い文章は複数の人間が分担して執筆することが多く,そのような場合文体やら描画方法など,きちっと決めてしまった方が楽だ.
窮屈に感じるかもしれないが,細かいことまで理に適った体裁で決まっていればいるほど,赤の他人と共同作業を行う際には余計な混乱を避けることができるのである.
新たな図鑑を刊行する際にも,ゼロから考え直すよりは,先達の体裁に倣った方が楽なのは明らかだ.

そんなわけで,図鑑左向き多数派の背景は,偶然引用に用いられた図鑑が左向きに偏り,大量情報掲載に伴う体裁の画一化によって,偏りに拍車がかかったのではないだろうか・・・と僕は考えている.
兎に角,様々な時代・場所で,独立に図鑑が作成されていくことを考えれば,左向きに偏る理由は,冒頭の理由を始め,『イラストが綺麗』『記述が正確』『情報量が多い』等々,いろいろあるのだろう.
ウェブ上で論じられているように,一つの理由だけで説明しきれるとは思えない.

とりあえずお茶を濁すような感じであるが,150回記念に纏わる左向き優勢ネタはこれで一時完結とする.
将来的に,左右混合図鑑に関する考察もするかもしれないが,具体的な時期は未定だ.


※今回使用した図1と図2は国立国会図書館に使用申請し,許可を得ています.
無断複写はマズいので,必要な人は各自国会図書館に申請してください.



参考文献
※左右チェック以外に使用した文献
魚類解剖学 (落合 明,緑書房)第1版,p137-140
観賞魚解剖図鑑 (落合 明 他,緑書房)第1版,p41-90
新版 魚類生理学概論 (田村 保 他,恒星社厚生閣)第1版,p58
※左右チェックに使用した文献→SUPPLY.pdf


参照ウェブサイト
『大分週間釣り太カ』→参照先
『木下眞二のホームページ』→参照先
『足利工業大学 中山研究室ホームページ』→参照先
『Dolphin Blog』→参照先
『Yahoo!知恵袋』→参照先
『ヤッちゃんパパ奮闘記』→参照先
posted by osakana at 23:36| 埼玉 晴れ| Comment(5) | TrackBack(0) | 魚話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月06日

魚話その151 ぶろっほっほっほ(中編)

●左右混合の魚図鑑


まず前回の結果の解釈から.
左向き優勢と書いたが,実際は左右混合も多い.

ある方向から逆の方向へ変化する過渡期…とは考えにくい.
例えば,引用した図が逆向きだったり,互い違いに入れて省スペースを図ったり(カラー図鑑は費用がかかるが,高額すぎると一般向けでなくなる),片側が傷ついて標本写真には不適だったり,希少すぎて満足な写真が撮れなかったり…その他編者の目論見によるものだろう.
スペースの関係上前回触れなかったのだが,例えば『左ページの魚は右向き,右ページの魚は左向き』,『1種で2枚の図を載せ,左側面は白黒イラスト,右側面は写真』,『とにかく左右関係なしに詰め込んだ』タイプなどなど,実際には左右の混ざりっぷりにもいくつかあった.
また,特殊な例として,『王余魚図彙』のような江戸時代に描かれたカレイとヒラメの図鑑も自然と左右混合になる.


王余魚図彙.jpg

図1.左右混合図鑑の特殊な例(王余魚図彙)クリックすると拡大


また,ざっと見て,写真を多用したもので左右混合が多めだったように感じたが,スケッチと違って記録の難易度が変わらないからだろうか.
もちろん貴重なシャッターチャンスはどんな方向からやってくるかわからないというのもあるだろうが.
とにかく,自然界での様子を示す生態図鑑のように,『背景』が含まれている写真には,左右不問のものが多かった.

しかし,そこまで強調するほど,左右が統一されていることにメリットはあるのだろうか?
図鑑は種類の特定という役割を持っているのは周知の事実である.
『ものすごく似ているのだけれど,ビミョ〜に他と違う特徴がある…』そんな微妙な見分けの際に,図鑑に掲載されている方向がバラバラだと,その都度頭の中で左右反転しなければならない.
『魚が好きな人なら苦痛ではないんじゃ?』と思うかもしれないが,それを仕事にしている人にとっては,大量の情報を扱うこともあり,余計な作業はしない方が楽だし,ミスする可能性も減るだろう.
下図は適当に描いた想像上の魚の図鑑で,シチュエーションを変えて描いてみた.
どちらが種類の特定をしやすいだろうか?


左右混合事例.jpg
図2.図鑑の表示例(A:左右混合の場合,B:方向が統一されている場合).
クリックすると拡大


もっとも,見分けるのが難しいグループ内での方向は統一し,グループ間では左右混合しても支障が小さいわけだ.
例えば,ウナギやアナゴなどは左向き,マダイや●●ダイなどは右向き,トラフグと▲▲フグは…そんな構成にしても大きな問題は出ないだろう.

ちなみに古い魚図鑑(おそらく富裕層や学識者向けだろう)にも上下左右混合モノはあり,『分かる人』や『見て楽しむ』人にとって,方向の統一はさほど重要ではなさそうだ.


梅園魚品図正.jpg

図3.左右向きどちらでもない例(梅園魚品図正)クリックすると拡大


冒頭でも書いたように,左右混合図鑑は分類法も含め,僕の中で未整理のデータがごまんとあるので,今回の特集とは別に,再分析に挑戦する予定だ.

さて本題.
『魚図鑑はなぜ左向きか?』というテーマは,いくつかのサイトで考察されているので,次回はそれらの紹介から(まだ引っ張る).


※今回使用した図のうち,図1と3は国立国会図書館に使用を申請し,許可を得ています.
無断複写はマズいので,必要な人は各自国会図書館に申請してください.
posted by osakana at 03:48| 埼玉 曇り| Comment(0) | TrackBack(0) | 魚話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする