2013年06月06日

魚話その195 ぎょろりむしゅうせい

●水族館で魚を撮影する


先週の土曜深夜の話.
酔いどれ頭で水族館のサイトを見ていたところ,葛西臨海水族園でジャノメコオリウオとトビウオの一種の稚魚が公開されているという告知を見つけた.
いずれの魚も生体を見るのは初めてである.

梅雨入り宣言が出たというのに,雨が降る気配もないので,さっそく水族園へ無修正ロリ写真を取りに行くことにした.
もっともロリはロリでも,ふえぇ…とか言わない稚魚写真だけれど.

さて.
今回は告知で見つけた2種に加え,スマとハガツオの稚魚もいた.
こういうサプライズがあるから,デジカメのメモリーカードは余裕を持って行きたい.


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図1.ジャノメコオリウオ a) 成魚, b) 稚魚(背面), c) 稚魚(左側面) 2013年5月21日に孵化.サイズは約5 cm,2尾いた(他にもいたかもしれない)

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図2.ハマトビウオの稚魚 a) 飼育スペース, b) 飼育エリアの様子, c) 餌を食べる様子 サイズは約3 cm,水に落ちた虫にしか見えないが,よく見るとトビウオの面影はある.このサイズで水面をピョルピョルとジャンプしていた.

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図3.スマとハガツオの稚魚 a) 飼育スペース, b) 飼育エリアの様子, c) 稚魚のアップ 稚魚の混泳水槽なので,僕に魚種の判別は不可能.サイズは約3 mm,薄暗い水槽の中で機敏に泳ぐ稚魚を写すために,ボツ写真の量産(400枚くらい).手持ちの明るいマクロレンズはオートフォーカスも手ブレ補正もついて無いので,本当に難しかった…


水族館は飼育している魚の展示を行っているのみならず,資料の保管や研究,学習資料の提供も行っている.
企画展でテーマを絞った魚の展示や,生態展示,ワークショップなどもその一例だ.
一度行ったことがある水族館でも,時期によって変わったりするので,公式ウェブサイトをチェックするのはアリだと思う.
かつて水族館非公式ガイドという,全国の水族館のイベントなどの情報を網羅的に掲載しているサイトがあったのだが,残念ながら閉鎖してしまった.
今考えてもあのサイトは凄かったと思う.

そうだ.
水族館撮影に関して以前書き損ねたことの補足もしておこう.

・オートフォーカス補助光
薄暗い場所などでコントラストが低下すると,オートフォーカス(AF)がうまく作動しないことがある.
そこで,AF作動時のみライトをつけてピントを合わせやすくする機能がある.
AF補助光という機能で,シャッターを半押しした時に出てくる光がそうだ.
これが結構クセモノで,魚に当たると嫌がって逃げることが多い.
フラッシュ撮影禁止を守っている人でも,AF補助光をオフにしていない人は結構多い.
『ちょうどピントが合いそうだったのに,レンズの前で反転してしまったよ…』という場合は,少し設定を見直してみるといいかもしれない.
慣れが必要だけれど,マニュアルフォーカス(MF)という機能で対処可能だ.


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図4.AF補助光 a) AF補助光が動作している様子(赤矢印), b) AF補助光で照らされた様子(白矢印,カメラとの距離は約30 cm) モデルはPower shot G10(Canon)


・壁の厚み
大型水槽にかかる水圧は非常に大きいため,水族館では分厚いアクリルなどを使っている.
これが結構クセモノで,斜めから撮影すると,写真がボヤボヤになりやすい.
空気/壁/水で屈折率が異なるため発生し,どこにもピントが合わない手ぶれ写真のようになる.
『水槽写真は正面から撮る』という鉄則はやはり大事で,魚に合わせて姿勢を変えるなどの労力を惜しまないのが大事だ.


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図5.壁の厚みの影響 a) 斜め上から撮影, b) 正面から撮影 斜めから撮影すると,全体的にボヤボヤした写真になったり,矢印のように流れたような写真になったりする


・空気を読む
混雑している時に撮影しやすい場所を独占していると,他の来館者に反感を買う可能性が高い.
初公開の珍魚や,入口付近の水槽でなければ,人の途切れ目は結構できる.
通路の端で気長に待つ/再度行列に並び直すくらいの気持ちで考えるのが大事だ.

そういえば以前ブログで公開した動画を,テレビ放送で使いたいという旨のメールがスペインから届いた.
ルールに則って撮影・公開しているとはいえ,無断でテレビ放映するわけにもいかないので,水族館の担当者に事情を説明し,承諾を得ることができた.
メディアに画像を提供したことは何度かあったが,今回のような例は初めてだったので,良い勉強になった.
著作権には気をつけませう.


本日の魚
ジャノメコオリウオ Chionodraco rastrospinosus DeWitt & Hureau, 1979
スマ Euthynnus affinis (Cantor, 1849)
ハガツオ Sarda orientalis (Temminck et Schlegel,1844)
ハマトビウオ Cypselurus pinnatibarbatus japonicus (Franz, 1910)
posted by osakana at 01:19| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 魚話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月14日

魚話その196 でぃーふぉーしー〜Demands on Developing Digital Devices and Contents〜

●電子版の図鑑を妄想する


去年の話.
沖縄出張のため羽田空港を徘徊していたら,巡回スタッフがタブレットPCを持ち歩いているのを見かけた.
口頭のみで伝えられるよりもわかりやすいし,巡回スタッフの身体的な負担も減りそうだ.
自宅でもいともたやすくえげつないほどにダラけてネットができるので学会のポスター発表で話す際にも,質問者に合わせて補足データを見せることができるので,僕の中で便利グッズとして定着した.
その一方で,10インチのiPadをプライベートで外に持ち出すことは減りつつある.
吞み会などで写真を見せるために使うと,若干『準備してきました』と思われそうな気がしてしまうのと,常備するには結構重いのだ.
対して小型モデルやスマホでは,画面が小さいので見せづらい.


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図1.画面サイズの違い ガラケー(左),iPod touch(スマホサイズ;中),iPad(右)
いずれもretinaディスプレイを搭載しており,画像や文字の品質に不満は無いのだが,携帯性と見せやすさの両立が難しい.


折りたたみに出もしない限り,見せるデバイスと電話としての機能の両立は難しそうなので,現状では会う人から判断して使い分けるしかないだろう.


タブレットで思い出した.
日本産魚類検索の第3版(全2400ページ)が出た際に,電子化したら楽かな…と思い,2部購入して自炊してみた.


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図2.日本産魚類検索第3版
第2版から800ページ増え,2400ページに.2部重ねると,厚みが500mlのペットボトルの高さを超える.


確かに市場や野外の調べ物や,枕元で眺める際には重宝している.
ところが,持ち出し頻度は増えたものの,電子化の旨みを思ったより感じない.
僕が電子化で想定しているのは,携帯性,スペースの確保,テキスト検索による書籍のデータベース化,それと電気を消した寝床で読めることなのだが,魚類検索でテキスト検索を使うことはあまりない.
また,一般書籍と異なり『次は10ページ後に飛んで…』といったことはザラなので,ラボ等で腰を据えて使用する場合には書籍の方が使いやすいのだ.


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図3.ページが飛ぶ書籍(クリックして拡大) a) 検索図鑑,b) 道路地図
著作権のナニがアレなので,概念図を描いてみた.どちらも印刷サイズに合わせて膨大な情報を掲載するため,次の項目が掲載されているページ番号が書かれている.魚類検索図鑑は持っていなくとも,道路地図は見たことがあるのではなかろうか?


ハイパーリンクを使い,ワンクリックで次の該当ページへ直接飛ばせるようにしたものの,間隔が詰まるスマホサイズではページ送り機能と誤認されることが多い.
せっかく印刷サイズから解放されるのだし,ページめくりではなく,科ごとに一枚の画面にまとめ,スワイプ操作で辿っていけると使いやすい気がする(再レイアウトはとても大変だと思うけれど).
書籍版の道路地図と,Googleマップみたいな感じ.


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図4.電子版魚類検索図鑑の妄想その1 発散型の検索マップ(クリックすると画面いっぱいに拡大)
スワイプで辿れるようにしてみた.スタートから様々な方向に辿っていくので,種数が多いと円形になりそう.なお,著作権のナニがアレなので,掲載魚は実在しない妄想魚.


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図5.電子版魚類検索図鑑の妄想その2 扇型の検索マップ(クリックすると画面いっぱいに拡大)
発散型と似ているけれど,検索方向は左から右のみとなる.末広がりになってしまうので,種数が多いと難しいかもしれない.


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図6.検索マップ(扇形)をiPadに入れてみたところ(クリックして拡大)
イメージ画像を作成してみた.全体像における現在地は右下のナビゲータウィンドウで把握でき,STARTボタンを押すとSTARTの位置に戻れる.


第4版が『書籍プラス1万円で電子版付き』となったら僕は多分買う…と思う.
普段から読んでいれば覚えるでしょ,と突っ込まれそうだが,人それぞれということで.

図鑑といえば,インターネットをうまく活用した例を2点紹介したい.
一つはネイチャーおおさかが運営している『チリメンモンスターWEBインタラクティブ図鑑』.
Wikipediaのように閲覧者もアップロードできる点(専門家のフォローも入るらしい),そして,自分が調べるために撮影した写真をアップロードし,図鑑内の写真と同じディスプレイ上で比較できるようになっている点が面白い.

もう一点は『虫判定器』と『植物判定器』というスマホ用アプリで,写真を撮ってアプリ経由で送信すると,同定してくれる.
どういう仕組みで判別しているのか不明だし,精度に関する感想はまちまちだが,とても巧い使い方だと思う.
また,公開当初よりもレスが遅くなっているようなので,知名度アップとともにいろいろ負荷が増えたのだろう.
精度等,前述の課題が解決したら,ぜひとも魚版も出してほしい.

いろいろと妄想してきたが,すぐに出るようなものでもないので,当面は自分の観察眼を鍛えるしかないんだろうなぁ…などとぼんやり考えている.


参考文献
日本産魚類検索 (中坊徹次 編,東海大学出版会)第3版
チリメンモンスターWEBインタラクティブ図鑑→Webサイト
虫判定器→Webサイト
※ 植物判定器はアプリ購入サイトしかないので,各自で検索してください
posted by osakana at 20:22| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 魚話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする