最近ブームが去ったと思いきや,まだまだ続くメタボ・ブームだが,昔から続く健康診断の一測定項目として血圧がある.
人間の血圧はだいたい収縮期が110前後,拡張期が75前後くらいか(単位はmmHg).
『収縮期』とか『拡張期』の数値は心臓の拍動に由来しており,日常会話で『上が(=収縮期)』とか『下が(=拡張期)』と言ったりするアレだ.
今回は人以外の数字を書く関係で,上とか下と書くと何かの上限・下限と混同しそうなので,『収縮期』『拡張期』で統一した.
で,血圧を測定すれば自分の血圧が高いか低いかということは分かるが,あくまで,人間に限定した話題である.
それでは他の生物の血圧ってどうなんだろうか?
もちろん他の動物とは,魚のことなんだけど.
で,最初に書いていかないといけないのが,体の中を循環する仕組みの違い.
高校の生物でうっすら記憶に残っている人もいると思うが,人間の場合,心臓→肺→心臓という経路(肺循環)で酸素豊富な血液に変え,改めて心臓→体→心臓という経路(体循環)で回し,全体に酸素その他を供給・回収している(図1の左).

図.血液循環(左;ヒトと右;魚類) 黒い点線は心臓内での血液の動き
実際は心臓の構造も異なるのだが,わかりやすくするために同じ図形を使うとするなら,魚は肺循環に相当する循環がない(図1の右).
一回鰓を通ったら,そのまま全身を循環するのだ.
ちなみに心臓に戻らず全身に回るので,鰓を出た血液も静脈を経ずに動脈を通るだけという点が人と異なる.
(実際には魚にも二次循環系やらさまざまな循環系があるのだが,今回は話の簡略化のために,本当に大まかな血管だけを説明した).
血管中に血液を循環させるポンプが心臓であるわけだが,縦横無尽に押し出す力がかかる以上は,大なり小なり圧力が生じる.
というわけで,魚であっても血圧は存在するのである.
で,魚の血圧はこの血管網のうち,鰓に入る前の動脈(腹大動脈→図1のA)や鰓から出てきた動脈(背大動脈→図1のB’)での値が測定されることが多い.
測定部位が違と血圧は変わるので,魚と人間の血圧は単純に比較できないのだが,数字としては,魚の血圧は大体20〜40mmHgとなる.
ニジマスではもっと詳細に調べられていて,収縮期が40mmHg,拡張期が32mmHgという数字まで出ている.
ちなみに魚の腹大動脈の血圧に相当する(であろう),哺乳類の肺大動脈の血圧は10〜30mmHg前後である(ウマ,ヒトの数値).
もっとも,哺乳類や鳥が全身に血液を駆け巡らせるためにもう一度強力に押し出し,魚はそれをやっていないことを考えると,全体的に見れば魚は哺乳類や鳥類よりも低血圧といえそうだ.
ちなみに,ここらへんの理由は教科書的に書くと,陸上に進出したことによると考えられている.
水中生活では浮力が重力を相殺してくれるので,血圧が低くて済むというのだ.
丈夫な骨格を獲得したのと同時に,強靭な循環系も獲得したということか.

表.いろいろな動物の血圧
実際,表を見る限り,確かに魚の血圧が低いことはサイズと関係なさそうだ.
じゃあ,水中に棲んでいるイルカやクジラ,カエルはどうなのか?
残念ながら,僕の手持ちの資料には出ていないので,検証することが出来ない.
まぁ,このような話をしたところで血圧が下がるわけでもなく,この文章を書くために疲労がたまるのでむしろ僕の健康には悪…
今日の魚
ニジマス(Oncorhynchus mykiss)
参考文献
魚類生理学の基礎 (会田勝美 恒星社厚生閣) 第一版 P62-64
PHYSIOLOGY of FISHES (David H. Evans, Taylor & Francis) 3rd edition p124-125
生物学データ大百科事典〈上〉 (石原勝敏 他 朝倉書店) 第一版 P1175-1177



あまり意味のある指摘じゃないけど、何となく気付いちゃったので…。確認してみとくれ。
ATOKの予想変換機能そのままで打ってて、誤変換をチェックするのを忘れてたわ。
直しときます。