2008年12月20日

魚話その146 ピメットメェン!

●実験で使う道具


たまに書きたくなる,道具の話.
今回は実験室の机にはたいてい置いてある,でも,一般世間ではあまり馴染みのない道具達の紹介.
これらだけで実験ができるわけではないけれど,いろんなジャンルの人が共通して使うであろう機材のトップクラスだ(と思う).
そして僕の魚ライフでも必要不可欠な機械なのである.

その1.ピペットマン
早い話が高性能スポイトである.
ちなみにピペットマンはギルソン社の商品名なのだが,他社製品でもピペットマンで通じることが多い.


pipetman1 .jpg
図1.ピペットマン


いわゆる『バイオテクノロジー』の手法を使う人々は, μl(マイクロリットル)という単位を用いることが多い.
1ml(ミリリットル=1cc)の1000分の1のことを指す単位なのだが,実験は大体50μlもあれば十分なのだ.
で,そのμlオーダーの液体を,好きな量に測り取れるのがピペットマンである.


pipetman2 .jpg
図2.様々な量の滴(スケールバーは1cm)


取り扱いに慣れが必要で,もたもたしていると蒸発してしまうという難点はある.
しかし,1ミリリットルで1万円超と,プラチナ市場もびっくりな薬品はザラにあり,また,温めたり冷やしたりする時間が短くて済むので,少量で実験をすることのメリットは多いのである.
ちなみに,洗剤などに使われる界面活性剤や粘性の高い液体は苦手で,それらを扱うためにマイクロマンという姉妹品が存在する.

その2.エッペンチューブとファルコンチューブ少量で実験するためには,見合ったサイズの容器が必要となる.
で,それがエッペンチューブとファルコンチューブ.


tube.jpg
図3.エッペンチューブとファルコンチューブ


やはりこれらも特定の会社の商品名なのだが,他社も全て直径などの規格を合わせており,誰にでも通じる名称になっている.
こういう規格の統一がなされているおかげで,機械(例えば下記のチビタン)との互換性を気にせずに実験をすることができるのである.
ちなみにファルコンチューブの目盛りは想像以上に正確だったりする.

その3.ボルテックスミキサー
ミキサーとついておるとおり,黒い部分(図4中の←の部分)にあてがうと,ブルブル振動し,中の液体を渦巻かせ,かき混ぜてくれる機械.


mixer.jpg
図4.ボルテックスミキサー


連続した振動が,容器内に渦を作ることで液体を攪拌する.
この時渦の頂上が容器を支える指の位置よりも上に来てないので,不要に飛び散ることを抑え,かつ,効率よく混ぜることができるのだ.
実験では有害な物質を混ぜたりすることもあるので,無くてはならないツールなのである.
ちなみにまだそんなに実験に慣れていない学生だと,容器のフタ付近を持ってしまい,見事にフタにまで液体を飛び散らせてしまったりする.
意外とここら辺で,ちゃんと実験操作の仕組みを考えているか否かを予想できるので,学生諸君は隣で操作している友人・先輩の操作を見てみよう.

その4.チビタン
どんなに注意深く操作しても,攪拌した後は壁面に液体がついてしまう.
これを回収するために使うのが,チビタン.


chibitan2 .jpg
図5.チビタン


薬品が勿体ないのもあるが,データの精度にも関わってくるのである.
これも商品名で,一般名称は卓上微量遠心機など.
高速回転して,壁面についた滴を落とすのだ.



本当はケガするのでフタを開けたまま使用してはいけないのだが,いちいち待ってられないのでフタを開けっぱなしでやったりする.
しかし,この後継機種ではフタを閉めないと使えないようになってしまい,教育には良いのだが,どこかこう不便….
そうだ,チビタンの初代は,矢印(←)の部分が壊れやすい.
恐らく,モノグサ達がフタを閉めずにチビタンを使っているからなのだろうけれど…
posted by osakana at 04:02| 埼玉 雨| Comment(2) | TrackBack(0) | 魚話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
うぉ〜〜〜っ!
ホームショップにいくと半日は出て来れなくなる私です。道具には本当に惚れ惚れ致します。

>ピペットマン

これ欲しい〜。持っていても使い様がないですが^^ゞ最小目盛0.05mlの注射器を使っていますが、これで充分。形状が似た道具に、風呂場・窓枠・台所などで利用する為のシリコン注入器というのは我が家にあります。

>チビタン

こういう道具が科学研究を陰でささえているのですね。感動します。
Posted by shochi at 2008年12月21日 20:54
どもども

>ピペットマン
実はamazonで販売していたりします.
http://www.amazon.co.jp/GILSON-ピペットマン-P-20/dp/B001EI7U7S/ref=sr_1_5?ie=UTF8&s=electronics&qid=1229869584&sr=1-5
実際は業者の割引が入るので,もうちょい安いのですが…
今回書いてないのですが,スポイトや注射器同様,カバーできる(=得意な)要領の範囲は合って,実験で使う際には,大小4本くらい揃ってないと不便です.
割引とはいえ,高いので,学生用には類似品を買ったりすることの方が多かったりもします.
また,注射器同様,精度や清潔さを保つため,先端部分はプラスチックの交換品になっており,一本一本は安いのですが,一度に使う量が半端でないので,値段がかさみます.
やっぱり個人所有するには高価ですね(苦笑)

>チビタン
結局,どのギョーカイでも,自分の知らない道具って何か不思議な感じがしますよね.
たまたま僕はこれらを使う世界に関わっているので,今回のような道具を紹介したりしますけど,ギョーカイの数だけ知らない道具はあるわけですよね.
そう考えると,小学生の時にやった社会科見学って,大人になってからやったら新鮮なんじゃないかなぁと思っちゃたりします.
なので,たまに『大人の社会科見学』なんて話題が出ますけど,機会があれば出てみたいですね.
Posted by osakana at 2008年12月21日 23:29
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