注意!
臭いへの耐性は個人差があるので,僕の感想を完全には鵜呑みにしないでください.
僕が高校生の頃,生物の教科書の最初の方に,生物現象の一例として,発酵と腐敗の記述があった.
前者は人間にとって有用なモノ,後者はその逆を作り出す現象で,微生物による現象であることが,様々な実験によって証明されていくわけである.
で,この発酵と腐敗,見分ける初めの一歩として,においをスンスン嗅いでみることが多い.
舐めるよりはリスクが少ないからだろう.
一般的に,変な/不快な/嫌なにおいがしたら,腐敗の可能性が高い.
しかし,世の中には,腐敗のカテゴリーに入りそうなにおいを持っているにもかかわらず,れっきとした食材がある.
それが,かねてからアナウンスしてきたスウェーデンの秘宝こと,シュールストレミング(Surströmming文字化けしてたら…)である.
今のご時世,『世界一臭い缶詰はシュールストレミングである』という情報を持つことはたやすいが,『じゃあ,どれだけ臭いの?どう臭いの?味はどうなの?』と言う質問に答える人が何人いるのだろうか?
せっかくの魚ネタなのだし,こういうのは実際にやってみないと好奇心が抑えられないのである.
伝聞情報を書くだけなら誰でもできるが,やはり実体験した方が,内容に信憑性が出ると思うのだ.
ただ,別にクリスマスでなくても良いんでねぇかと言う突っ込みはごもっとも.
しかし,賞味期限と言うものが存在し,2008年の12月31日なのである.
早く食さねば,秘宝がゴミになってしまう.

図1.シュールストレミング(2007年購入モノ)
賞味期限的にそろそろ危ないと言うこと保存方法によっては,開缶したらドロドロに溶けていたという情報もあり,念のため,今秋発売モノも購入してみた.
いろんな人を招いておきながら,とろけて食べる場所が残ってないというのは,さすがに虚しいので.

図2.シュールストレミング(2008年購入モノ)
周囲に飛び散るとことを考え,大きめの透明ゴミ袋に缶と缶切りを入れ,袋の外からキリキリと開封.
水の中でなくとも,雨合羽を使わなくとも,普通に開封できるのである.

図3.シュールストレミングの中身(2007年購入モノ)

図4.シュールストレミングの中身(2008年購入モノ)
寒かったせいか,臭いは思ったほどきつくなく,腐ったドブのような臭いという表現がしっくりくるものの,たとえば,酢のボトルを直嗅ぎした時のようなパンチ力は無く,『嗅ぐ→卒倒・嘔吐』という感じでも無かった.
僕が釣りで腐った水域の香りを嗅ぎ慣れているからなのか,変わったなれずしを食べたりしているせいなのか,ホネ取りで腐敗した魚を扱っているからかは分からないが,『超悪臭』の範疇に入らないと言うのが正直な感想だ.
さて.
『とにかくタマネギを用意すべし』というウェブサイトが多かったのでそれに従い,大量のタマネギスライスとマッシュポテト,トマト,クラッカーを準備し,オープンサンド形式でいざ実食.

図5.シュールストレミングのオープンサンド
確かに臭いは少々きついが,それ以上に塩辛さが目立つ.
単体で食べると,確かに臭いと塩辛さで『うっ!』とくるのだが,タマネギを添えることで,相当マイルドになり,美味しい.
ただし,会社の違いよりは,保存期間の違いによる熟成だと思うのだが,確かに賞味期限間際のシュールストレミングの方が,風味がきつく,噛み続けても口内に臭いが残る感じであった.
さて,まじめに.
シュールストレミングは,塩蔵したニシンを,加熱殺菌しないまま保存することで,機密性の高い缶内で発酵が起こり,独特の風味が産まれるというスウェーデンの調理品である.
Haloanaerobium alcaliphilumやTetragenococcus muriaticusなどと呼ばれる嫌気性細菌の仲間が発酵に関与していると考えられており,悪臭物質としては,プロピオン酸(刺激臭),硫化水素(腐卵臭),酪酸(腐ったバターのような臭い),酢酸(酸っぱい臭い)などが挙げられている.
装置の関係上,塩分濃度を測ることはできなかったが,pHは6前後と,中性付近の値を示した.

図6,新旧シュールストレミングのpH
最後に.
今回は2年分のシュールストレミングを食べたわけだが,僕の率直な感想は『塩辛いが,結構旨い』と言うものであった.
ただ,意外と準備が面倒なので,あれば食べるけれど,何が何でも入手して食べたいと言うレベルの旨さではないことも足しておく.
また,味覚や嗅覚には個人差があること,周囲に迷惑がかかりうるので,十分な注意が必要だ.

図7.空き缶
今日の魚
ニシン(Clupea sp.)
参考文献
魚の発酵食品 (藤井 健夫 ベルソーブックス)第1版 P107-112
川口貿易(シュールストレミング販売会社)ウェブサイト


な〜んだ、極めて普通な魚!
悪名高いので、てっきり鮒寿司をもっとコッテコテにした毒マスクが必要な位の曲者を想像しておりました(笑)
殆どドイツのMatjes、Heringと変わりません。
http://www.foolforfood.de/index.php/tag/matjes:
ドイツのジャンクフードです。
同じく玉ねぎをいれます。疲れている時はこれ私好きなんですよ〜。
北欧食品店にいけば売ってるんでしょうが、いやぁ私も買って来よう♪
う〜ん…衝撃度という意味では肩透かしでした…
が,周囲の面々も,同業者ばかりだったので,世間一般では嗅がないような臭いとかにも耐性があったかもしれないです.
少なくとも僕は,他の人が吐いちゃう(こともある)臭いの中でもご飯食べたりできますし.
まぁ,絶対的な耐性は別として,臭いの種類は違えど,ふなずしと比べても,そんな印象は変わらなかったですよ.
寒かったから,においをそんなに感じなかったのかと思って,キープしておいたシュール汁を,後日改めて,暖房の効いた部屋で嗅ぎましたが,やっぱり容器に鼻を近づけても平気でした.
興味深いことに,シュールを何事もなく食べていた人(今回食べられなかった人はごく一部でした)のうち数名は,『ふなずしは食べられないんだけどね…』と言っておりました.
臭いの種類が違うので,閾値も変わるのかもしれないですね.
ただ,シュールもいろんなランクがあるみたいで,卵入りのがすごく臭いも味もきついそうです.
次は何を食べようかしらん.
MatjesHeringは気になりますね♪
卵入りですね(メモメモ
妙な所で自分の行動限界を試してみたくなりまする。あったら買って試食してみます。
北ドイツでは若い鰊(Hering)が「Matjes」という名前で売られます。マリネしてありそれなりに味付けは濃いですが、食感が刺身と然程違わない為、ドイツ在住邦人の間では「現地食にゲッソリ、胃腸が悲鳴をあげたらコレを食べよう」です(笑)和食の日におかずの一つにこれを出しても違和感あまりありません。
明日から日本なのでこれで就寝いたします。
よい年末年始をお過ごしください。