タイと名前が付くと有り難みが増すのか,アマダイやらキンメダイやらマトウダイなど形や類縁関係は違えど●●ダイと呼ばれる魚は多い.
図1.マトウダイ
似たような・・・というか,同じような例としてサメがある.
いや,●●カジカやら◆◆ハゼやら,類縁関係を跨いで名称が付いている例は他にもあるのだが,ええい,今回はサメなのである.
サメではない●●ザメには,コバンザメとチョウザメがいる.
前者は背ビレが変形してできた吸盤で,サメを始めとする大きな生き物にくっつくそのユニークな生態から,‘ちゃっかりもの’として紹介されることが多い.
対して,チョウザメの場合,テレビなどのメディアでキャビアの話題抜きにチョウザメが紹介されるのは,まぁ,あまりない.
飼育条件もなかなか一般家庭では満たしにくいので,魚体の馴染みの低さに拍車がかかる.
そんなわけで,今回はチョウザメに焦点を当ててみた.
チョウザメはサメやらエイやらが属する軟骨魚類ではなく,‘普通の魚’が属する硬骨魚類である.
厳密には,硬骨魚類の中でも,‘ホントーにフツーの魚’である真骨類というグループではなく,軟質類というグループに含まれている.
熱帯魚好きの間で,いわゆる‘古代魚’と呼ばれるカテゴリーの一員と言えば良いか・・・しかし,‘真骨類’よりも古いのは確かなのだが,どうも‘古代魚グループ内’での類縁関係がしっくりこないようで,文献を漁っていると,ちょこちょこ更新されている.
さて.
とりあえず実物を出さにゃあ話は始まらんということで,チョウザメの養殖場から血抜きしただけのチョウザメを注文(※本当は鰓や内臓を抜いたものを送ってくれる).
小型の個体を注文したとはいえ,80センチ近くあり,明らかに一般家庭向けではないサイズの発泡スチロールが届く.
図2.届いた箱(葉書と比較)
今回購入したのは,アムールチョウザメ.
小型の個体を注文したとはいえ,80センチ近くあり,明らかに一般家庭向けではないサイズの発泡スチロールが届く.
図3.アムールチョウザメ(a;側面,b;腹面,c;背面,スケールは10cm)
水族館では何度も見たことがあるが,目の前で今まさに捌かれんとするチョウザメは始めて.
確かにサメを冠したくなる気持ちは分かる.
全体的な形状もさることながら,尾鰭(おびれ)の形が明らかに通常の魚ではなく,サメのそれである.
図4.尾鰭の比較(a;アムールチョウザメ,b;ドチザメ,c;シイラ)
一瞬現在の魚類学を疑いそうになるが,確かに細部は違う.
まず,顔面.
よく見ると口に歯がない(図5a).
また,鼻の下に4本のヒゲがある(図5b).
図5.アムールチョウザメの顔面とヒゲ(a;腹面より,b;左斜め前方より)
加えて,口が伸びる.
図6.アムールチョウザメの口(a;収縮時,b;伸長時)
さらにエラブタもある.
サメの仲間はエラブタを持たず,5〜7本のスリットから水が抜けていくのである.
次いで胴体.
鮫肌と言われるように,サメはトゲ状の鱗(うろこ)を持つが,チョウザメにはそれがない.
代わりに,魚話その136 で紹介したガーの鱗と同質の,ガノイン鱗と呼ばれる硬質の鱗を持つ.
ただし,ガーと異なり,鱗は全身を覆っていない.
余談だが,この体表面に広がる鱗こそチョウザメを‘蝶鮫’たらしめている.
図7.チョウザメの鱗(a;全身における鱗の分布,b;上図の□内の拡大図,c;鱗,スケールは5mm)
じ〜っと見ていると,なんとなく蝶の形に見えないだろうか?
鱗だけ取りだしてみると,確かにガーの鱗にそっくりだ.
ちなみにこれ,刀剣類の装飾にも使われており,菊綴(きくとじ)と呼ばれている.
房飾りにも‘菊綴’があるが,どういう課程を経て同じ名前で呼ばれるようになったのかは,ちょっと調べきれなかった.
まぁ,引っ張りたいところだが,チョウザメがサメとは違いそうだというネタを,なんとなく消化したところで,今回は終了.
次回,そのお味に迫る!?
今日の魚
コチョウザメ(Acipenser rutbenus)
シイラ(Coryphaena hippura)
ドチザメ(Triakis scyllium)
アムールチョウザメ(Acipenser kikuchii)
ベルーガ(Huso huso)
マトウダイ(Zeus faber)
参考文献
古代魚を飼う (小寺春人 他 マリン企画)第1版 P68-69
図説魚と貝の事典 (望月賢一 柏書房)第1版 P256-257


アムールチョウザメだお。
なおしときます
酔っぱらってモノ書きすると,いつも以上に駄目駄目ですな.
なおしときま〜す.