今回は中身.
まずは食物用に調達したメスでガシガシと捌く.
本来なら包丁を使うシーンだが,骨格標本も作りたいのと,チョウザメの骨格は軟骨なので,包丁よりも小回りが利くメスが便利なのである.
包丁も併用することが多いが,ペンナイフと同サイズのメスだけでも1mくらいの魚は捌ける.
あ,これを読んだメス所持学生諸君,迂闊に真似しないように.
僕のは実験使用後のメスではなく,ちゃんと未使用品を一本用意しているのだ.
捌いた肉は,珍食愛好家達と分配したので,意外と取り分は少なかった(全部僕の自腹なのだが).
ちょっと料理するタイミングが得られなかったので,冷凍庫にポイ.
しかし,我が家の冷凍庫は既に珍魚のフィレ達がカオスを形成しており,わずか数日の保存なのになかなか見つからぬ.
カオス

で,ようやく見つけた凍結フィレ.

解凍すると,改めてそのヌメリの強さに気付く.

皮も固いし,皮剥きはケガをしないように注意が必要だ.
さて.
初めての魚は,塩焼きにして食べることにしているが,全部塩焼きにするのも勿体ないので,冷蔵庫の中身とご相談.
出てきたのはキャベツとマイタケ.

これらと炒めればよいか…
まずはフィレを一口大に切る.

小麦粉をまぶし,フライパンで焼く.

ざく切りにしたキャベツ,マイタケ,酒の順に炒め,先ほど焼いたフィレと生姜,豆板醤,酒,オイスターソースを加えてさらに炒める.

で,完成.

塩焼き

炒め物

塩焼きは,ちょっと堅めで風味を強くした銀ダラという感じ.
炒め物は,獣肉に近い歯ごたえ.
風味は魚なのだけれど,噛み切りやすい獣肉が具材に加わっている感覚なのだ.
ただ,この風味,冷めたらちょっと…
刺身でもイケるとのことなので,調理法によりけりということなのだろう.
いやしかし,出来立ては美味い.
キャビアだけがチョウザメじゃぁないのではなかろうか.
ただ,僕は
ちなみに図鑑以外でチョウザメを扱った書籍というのは意外と見つかるもので,僕の本棚からは,開高健の『オーパ,オーパ!!』,末広陽子の『私はチョウザメが食べたかった』などが見つかった.
両者とも美味い不味いの両方が書かれている.
風味が強いので,種差・条件を如実に反映してしまうのだろうか.
古書では,『松前志』,『栗氏魚譜』,『異魚図賛』,『阿淡産志』,『紫藤園海鯊図』,『本草写生図譜』にチョウザメの記録があるという.
国会図書館のサイトで閲覧可能な『栗氏魚譜』と『異魚図賛』を調べたところ,なにやらゾウの鼻のような吻と,やたらといかつい鱗を持った魚が描かれていた.
チョウザメと『特徴』を共有しているのだが,どこでどう伝言ゲームを間違えたのやら…という感じで面白い.
また,『和漢三才図会』や『本草綱目』,『本朝食鑑』でもそれっぽい記述が出ているのだが,マグロやカジキとの混同が起きている.
京極堂よろしく内容を解体すれば分かるのだろうが,それはまたいつかの機会に…と思ったら,同じようなことを考えていた人がいた.
う〜ん.
後手後手だなぁ….
でも機会があれば次回,もしくは一回違う魚話を挟んで次々回くらいには紹介したいところだ.
本日の魚
アムールチョウザメ(Acipenser schrenckii)
参考文献
オーパ、オーパ!!アラスカ篇 カリフォルニア・カナダ篇 (開高健 集英社)第1版 P378-379
私はチョウザメが食べたかった (末広陽子 河出書房新社)第1版 P357-359
磯野直秀 (2005), 珍禽異獣奇魚の古記録, 慶応大学日吉紀要・自然, 37号, 33-59

