2009年08月01日

魚話その157 ドルフィン喰らい

●シイラあれこれ

そろそろ夏本番か.
行きつけの魚屋にも夏の魚がならび始めた.
ところで,様々な魚偏の漢字が存在するが,実はPC内の辞書には,鰍(カジカ),鮗(コノシロ),鰆(サワラ)という字は存在すれど,魚偏に夏という字は存在しない.


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しかし,大和本草という江戸時代の書籍には


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『ハエ(ハヤのこと):いろんな川におり,白ハエやら赤ハエやらアブラハエやら仲間もいっぱいいる.この字を‘ハエ’と読み,万葉集にも載っているが,詳しいことはよく分からない.また,倭名抄には別の字を‘ハエ’に充てているが,こちらも詳しいことはよく分からない.(意訳)』
と記されているように,古くはハエやハヤなどの読みが与えられていたようだが,とりあえず他の三文字とは知名度が異なるようだ.

さて.
魚偏に夏は残念ながらメジャーではなかったが,代わりに‘夏’から連想して‘暑い’が付く漢字,(シイラ)でも紹介しようか.
シイラは以前写真を掲載したことがあったが,ネタとして扱うのは今回が初になるようだ.


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写真1.シイラ



シイラと言えば海でルアーフィッシングをする人の間では結構有名だが,意外と食卓に上ることは少ない.
鮮度(味覚)低下が早いのが原因とされているが,実際はどうなのだろうか?
僕は行きつけの魚屋で,80センチくらいのシイラを500円程度で入手し,刺身以外の様々な調理を試みているが,そんな不味くはないと感じる.


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写真2.シイラ・カレー



後で触れるが,一応シイラの名誉のために書いておくと,ハワイでは高級魚だ.
捌きついでに,全身骨格標本も作ってみた.
なぜか除肉中の写真しか見つからなかったので,後日差し替え予定.
写真3aからも分かるように非常に脂がきつく,あっという間に茶色く油焼けしてしまう.
ベンジンやキシレンなどできちんと脱脂すればいいのだが,こんなに大きな骨格標本を浸すだけの設備と資金がないので,今回はパス.
口の中を覗くと,なんとまぁ舌にまで歯が生えている.


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写真3.a:全身骨格,b:口蓋(口の上側)の歯状構造,c:舌にある歯状構造



ギーガー的なウツボの咽頭歯や,一撃必殺系ハモの歯とはまた違った獰猛さを感じる.

話は変わって.
シイラには‘万引き(まんびき)’‘,‘久万引き(くまびき)’‘,‘死人喰らい’等々の変わった異名が多い.
そりゃあアナハゼの‘チンポダシ’だっていろんな意味でインパクトがあるが,恐ろしげな印象においては‘死人喰らい’には敵わない.
結局のところ,海上の浮遊物に集まっているため上記のような異名が付けられており,‘久万’も‘大量の’という意味が転じ,浮遊物の周囲に群れている様子に由来すると言う.
この性質が英名にも反映されており,こちらの寄り添う相手は違うのだが,イルカ同様ボートに併泳する様子から,Dolphin fishと呼ばれている.
一方,黄金に輝く魚体から,スペインのようにDorado(黄金.エル・ドラドのアレね)と呼ばれたりもする.
死ぬと一気に退色してしまうので,引きこもり系の僕にはなかなか撮影の機会がない.
昔シーラカンスのシンポジウムを見に行ったついでに訪れた水族館での写真が唯一か.
それでもテレビや雑誌で見る’活きの良い’シイラの鮮やかさとは雲泥の差だ.

ちなみにハワイではmahimahi(マヒマヒ)と呼ばれ,巨大ハンバーガーの有名店,KUA`AINA(クアアイナ)のマヒマヒ・サンドは恐らくシイラの肉が使われている(いた?)ものと思われる.


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写真4.a:KUA`AINAのテイクアウト用ケース(ペットボトルは500ml),b:アボカドバーガー1/2 lb,c:マヒマヒサンド,d:マヒマヒサンドの中身



残念ながら,国内の店舗にしか行ったことがないし,そもそもこのサンドに使われているのが,シイラなのかシイラに似た味の魚なのかを判断することはできない.
自分,味音痴ですから…


今日の魚
シイラ(Coryphaena hippurus


参考文献
大和本草(貝原益軒,中村学園蔵書)巻十三,四頁
Reef and Shore Fishes of the Hawaiian Islands (John E. Randall, niversity of Hawai‘i Sea Grant College Program)
posted by osakana at 00:06| 埼玉 雨| Comment(0) | TrackBack(0) | 魚話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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