2011年02月11日

魚話その177 かいじう!

●ミツクリザメを撮ってきた


水族館はカメラ泣かせの場所の一つである.
薄暗く,被写体が動き回るため,通常の撮影条件では,黒つぶれかブレでまともな写真にならないので,ISO感度を上げたり,シャッター速度を落とす必要がある.
その効果は,裸眼で見た時の被写体(図1a,2a)との比較写真でおわかりいただけるだろう.


sb17702.jpg
図1.ISO感度とノイズ・黒つぶれへの影響 a)肉眼で目視した程度,b)ISO 200 15秒,c)ISO 12800 1/4秒,d〜f)それぞれ左隣の写真の白点線内を拡大
いずれも撮影にはSony NEX-5 を使用し,f/2.8 露出補正無で統一.


ただし,前者はノイズ(図1c,f)を,後者は手ブレ・被写体ブレ(図2b)の原因となる.


sb17701.jpg
図2.シャッター速度と被写体ブレ a)1/20秒,b)1/4秒
いずれも撮影にはCanon Powershot G10を使用し,f/2.8,ISO 400で統一.被写体はテッポウウオ(サンシャイン国際水族館)


さて.
2月5日の夕方,後輩から『葛西臨海水族園でミツクリザメが飼育展示されていますが,みんな興味無さげに通り過ぎ,微妙に虚しい』といったメールが突然届いた.
今でこそミツクリザメといえば,‘ゴブリンシャーク’やら‘深海の激珍ザメ’といった二つ名でテレビ番組に登場しているようだが,近年の捕獲ラッシュ以前は,図鑑でしかお目にかかれない珍魚であった.
もちろん図鑑のみのレアなサメは他にもいたが,多くは普通の形をしており,口が大きく突き出た写真で紹介されるミツクリザメは,異形の生物として強烈なインパクトを与えたものである.
個人的には,ビニールシートに横たわるミツクリザメと数人の研究者がしゃがんでいる写真が一番記憶に残っており,ある時その話題を出したのだが,後輩達にもすぐに伝わった.
やはり,あの写真は印象が強いのだろう.
かつて新聞の一面を賑わせた,打ち上げられたメガマウスの写真に近いパワーを感じる.

翌日.
開園と同時にミツクリザメが展示されている水槽に向かう.
かなり弱っているようだが,一応水平を保っていた(2月7日に死亡).
ところが,深海ムードに合わせたためか,光(もしくは水温)条件が合う水槽が他になかったからなのか知らないが,とにかく暗い.
ただでさえ撮影しにくい水族館の中でもさらに撮影しづらい(図3).


sb17703.jpg
図3.肉眼で見た状態に補正した葛西臨海水族園の館内


しかし,過去の最長飼育記録が14日間といわれており,翌日も生きている保証はない.
しかも2007年,2009年以来,3度目の飼育展示であり,次の機会が全く予想できない.
そこで,ノイズを諦め,高感度でとにかく撮影することにした.

僕のカメラのISO感度の上限である 12800ではノイズが目立ってしまうが,これ以上の画質を求めるには,本格的な一眼と明るいレンズの組み合わせでないとちょっと厳しい…と思ったら,なんとiPhoneにはフラッシュ代わりに強力なライトが付いているようで,周囲にいた一眼ユーザーよりも綺麗な写真を撮っていた.
‘フラッシュ撮影禁止’と掲示された水槽があるように,光に過剰反応する魚種もいるが,ミツクリザメは大丈夫なようであった.
そうなるとiPhoneの一人勝ちである.
恐るべし,林檎…

シャッターチャンスを狙いながら,水槽の前に立つこと2時間.
こちらの世界にも‘お仲間’はいるようで,1時間以上カメラを構えて水槽の前に張り付いていた3人のうち,1人は別の水族館でも異様な枚数の写真を撮っていた(面識はない).
子供達は最初の水槽で大抵満足してしまい,深海魚水槽の辺りではチラ見して去っていくため,傍から見れば,ただの危ない3人さながら川に座する岩といった感じである.

結局9割以上が写り込みや色潰れで使い物にならず,ここに公開できそうなのは以下の写真を含めて数枚.


sb17704.jpg
図4.水槽を泳ぐミツクリザメ a)右前方より,b)右側面,c)頭部腹面


一応動画も撮ってみた.
HD撮影したのだが,こう暗いとあまりメリットを感じられない気がする.


普段は写真の出来を確認しているのだが,バッテリーの関係で断念.
また,もう少し撮影を続けたかったのだが,午後に別の用事があったため,700枚ほどミツクリザメの写真を撮ったところで水族館を去ったのであった.


本日の魚
テッポウウオ(Toxotes jaculatrix
ミツクリザメ(Mitsukurina owstoni
posted by osakana at 00:00| 埼玉 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 魚話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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