2006年06月12日

魚本その11 鯰絵―震災と日本文化

■構成
5部構成で、以下の内容からなる。
第1部 鯰絵の世界
第2部 鯰絵を読む
第3部 鯰と地震
第4部 鯰の博物学
第5部 鯰絵総目録


■凄いとこ
鯰絵に関する資料が豊富。
普通の書店で見ることが出来ない『博物館所蔵系資料』の写真が豊富に掲載されている。
一般書籍では、鯰絵に関する記述は理系ナマズ本に併載されることが多いのだが、本書は鯰絵の専門家達が一挙に執筆して一冊の本にまとめている。


■物足りないとこ
(保存を含め)様々な理由があってのハードカバーなのだろうが、少々読みにくい。
この類の本は貴重な写真を掲載しているので、どうせならフルカラーで出版して欲しい。
自腹購入なので、もうちょい安くしてくれると嬉しいかも…


■雑感
ナマズはたびたび魚話の方でも登場している(『魚話その32』『魚話その36』『魚話その40』『魚話その46』『魚話その78』)が、その多くの参考文献に鯰―魚と文化の多様性を用いている。
様々なジャンルの人が書き寄せた、いわゆる広い本なので非常に重宝しているわけだが、広くの枕詞に浅くがあるかのように、だんだん物足りなさを感じてくるのも確かである。
何と言ったらいいのだろうか、取っ掛かりとしては非常に重宝するのだが、一般向けに出版した本なので、コストを抑えるためにカラーページが少なかったり、情報を簡略化していたりするのだ。
もちろんもっと調べたい人は、別の資料をあたればいい訳で、鯰―魚と文化の多様性を非難するつもりはない。
あの本に出会っていなければ、民俗・風習ネタをブログに書くということは無かったといっても過言ではない。
で、ナマズ絵というジャンルに関して『もっと知りたい!』という欲求を叶えてくれる、そんな一冊が、今回紹介した魚本である。

上項で述べた通り、本書は鯰絵の専門本である。
これでもかというくらい、鯰絵に関する情報が登場する。
ちなみに鯰―魚と文化の多様性で執筆していた北原糸子氏も本書に執筆しており、よりディープな話を堪能することが出来る。
が、個人的には、別の本で予備知識を持っていたほうが読み疲れが少ないように感じる。
それくらい(いい意味で)偏っている本なのである。
しかし、『世界のナマズ』という写真コーナーが気になってしまう。
これはこれで面白いのだが、いつも読む魚本と立場が逆なのでついつい困惑してしまう。
というより、無くてもいいような気も。
せっかくなら、100%鯰絵オンリーの偏りっぷりを表に出して欲しかった。
文系・理系という言葉はあまり好きではないのだが、本書はできれば理系の人に読んで欲しい。
なんかこう、自分の知っている生き物でも、違う側面を持つ…といったらいいのだろうか、新たな一面を知ることができると思う。
高価なので、購入は簡単にお勧めできないが、図書館などで見かけたら、是非立ち読みして欲しい一冊だ。

そうだ、ついでに書いておこう。
もう一冊似たような本がある。
民俗学の大御所、柳田國男の最後の門下生であるコルネリウス・アウエハントによる鯰絵―民俗的想像力の世界も気になるところだ。
が、いかんせん入手困難なことと、高価なこと、この二つが重なっており、僕はまだ読んでいない。
本当は両方売っていたのだが、片方しか買えなかったのだ。
で、後日買いに来たら、既に売れていた。
う〜ん残念…


■書籍情報
鯰絵―震災と日本文化
宮田登
里文出版(1995年)
ISBN:4947546840
7544円
posted by osakana at 21:53| 埼玉 ☔| Comment(2) | TrackBack(0) | 魚本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
わあ残念! 仰って下されば、弊店では半額以下でしたのに。お持ちだろうと思ってご連絡いたしませんでした。(まだ1冊在庫中ですと、ここで宣伝に走ります。)お暇の折にまた遊びにいらして下さい。
Posted by 猫額洞 at 2006年06月13日 19:15
ええぇっ!
ひょっとして『鯰絵―民俗的想像力の世界』もあったりするんですか?
資金を手に入れたので、近々伺います。
やはり、本は足で買えですね…
Posted by osakana at 2006年06月13日 19:22
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