2006年10月06日

魚本その14 おさかな話

■構成
全2部構成。
レタスクラブ(第1部:1992年2号〜1993年1号、第2部:1993年6号〜23号)で連載したコラムを単行本として刊行。
第2部では、余白にコメントを加筆している。
後日談など、コラムとコメントの内容に数年の隔たりがあって面白い。

第1部:おさかなばなし
第2部:魚を飼おう


■凄いところ
なにしろ内田春菊。
見開きのページで全て完結しているので見やすい。
雑誌連載されていたせいか、ネタの鮮度を活かすような作りになっており、時代が経過した今、逆に当時の様子を窺い知る資料となっている。


■物足りないところ
古いので、(作品鑑賞上)少々絵にギャップを感じる。
表記に間違いが見られる(書き足されたコメントで訂正しているけれど)。
第1部は絵の具で、第2部ではPCによって描かれており、なんとなく統一感のなさを感じる。


■雑感
読書の秋である。
ちょっと前に先輩から内田春菊の本を借りたのがきっかけで、アレコレ読むうちに魚好きということを発見した。
『私たちは繁殖している』『ファザーファッカー』等で有名なアノ内田春菊だ。
ちなみに東京電力のでんこちゃんも彼女の作品だ。
様々な作品で書いているが、彼女はシーラカンスがとにかく好きらしい。
『おさかなばなし』の表紙もシーラカンスだ。
ただ『生きる化石』とかいうネーミングも神秘的だし、見た目も迫力があって万人ウケする魚である。
もしかしてミーハーなんじゃ…
が、しかし、そんな不安はどこへやら。
シーラカンスの次にシノノメサカタザメやらザラビクニンが好きという、ちょっとコアっぷりを発揮しているのだ。
普通シノノメサカタザメが好きって言われても分からんて。

第2部余白に書き加えられたコメント(というか後日談)がなかなか面白い。
例えば、コモンサカタザメという魚の紹介で、コモン=common(『普通の』とかそういう意味)+サカタザメと描いている。
が、本当はコモン=小紋であり、そのことを単行本の中では自分で『バカだね〜』と突っ込んでいる。
また、沖縄の水族館では『沖縄海洋博跡水族館』なる施設を紹介しており、『美ら海水族館』じゃないあたりが時代を感じさせる。

実はこの本以外にも『水族館行こミーンズI LOVE YOU 』という魚本を描いているのだが、まだ持っていない。
絶版になっているらしく、古本屋で探すしかないのだ。
また、先述の先輩の話によると『夫婦間のいざこざがあったときの作品で、嫌々書いた』ものらしく、買おうかどうかは迷うところだ。
アミューズメント施設の紹介なんだし、せっかくなら楽しんで書いた本の方が、読む側としても気分がいいと思うんだが…

話は逸れるが、僕の中では、どうも西原理恵子と内田春菊が同じジャンルにいるような気がしてならない。
内容がどうのというわけではなく、自分の(すごい)生き様を、隠す事無く描いているように感じさせるのだ。
描き方は『棘がある』内田春菊に対し、『毒がある』西原理恵子と思っている。
ちなみに同じ植物的表現を使うなら、青木光恵は『キズ』が、倉田真由美は『アク』があると思う。
4人の作品はいずれも読んだことがあるが、自分の作品の中で登場させたりしている(内田春菊と倉田麻由美、青木光恵と倉田麻由美という組み合わせは未確認)。
おさかなばなしでは、西原理恵子がザラビクニンとシノノメサカタザメの回に登場していた。
こういう風に、いろんなところでネットワークが構成されていくような描き方をされると、読みたい人が増えて言ってしまうのである。
まぁ嬉しい悩みですな。


■書籍情報
おさかな話
内田春菊
ぶんか社(1996年)
ISBN:4821194880
1427円(税込み)
posted by osakana at 21:50| 埼玉 ☔| Comment(1) | TrackBack(0) | 魚本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おさかな話は当時レタスクラブで読みました.まだ学生の延長線上で東邦大に居ましたね.本も在ります.でもザラビクニンの件は非常によく憶えていますが,シノノメサカタザメが出てましたっけ,何故か憶えていません.東雲坂田鮫でしたらワタクシメの裏ウェブログ記事をどうぞ.

『水族館行こミーンズI LOVE YOU 』,残念ながら記憶に残らない程度につまんなかったですよ.古本で買って割とすぐに売っちゃいました.嫌嫌本を記すなんて,労働と紙(樹)が勿体ないですね.もし読まれるのなら図書館で取り寄せられた方が早いのではありませんか? .
女流漫画家の紹介を有難うございます.参考になりますね.それこそあの当時では考えられませんが,最近の図書館は漫画も扱っているので,今度リクエストしてみます.
Posted by 松葉画舫 at 2014年09月26日 09:27
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