2006年11月05日

魚本その17 ゾウの時間 ネズミの時間

■構成
本編(全14章)
あとがき
付録

■凄いとこ
サイズに依存せず、生物は『数字』を共有しているということを丁寧に解説。
別の観点で見るとひっくり返るという、ドンデン返しを違和感なくやってのける。

■物足りないとこ
本人いわく『一部強引な論理展開』という章があったりする。
参考文献が載っていない。
『初心者』向けに説明があり、指数の説明から入っていると思いきや、いきなりレベルアップしてしまう。
数式嫌いの人は眠くなるかも。

■雑感
これは僕が中学校の時に販売された本である。
実際に名前を聞いたのは高校三年生だったか浪人中だったか。
何でも受験中でイライラしていたことだけは記憶している。
紹介ジャンル(といってイイのかな?)としては、『利己的な遺伝子』と同じく、『学校で習っている生物学だけじゃないんだよ』的な扱いだった。
あらすじを聞いても興味は沸かず、書店で手に取ることもなかった。

で、次に名前を聞いたのは大学1年の春。
学科の自己紹介で、この本が面白かったと言っている人がいたのだ。
この頃は、渓流釣り所の長野県に来たというだけで頭のネジは緩み、そんな本にかまっちゃあいられない状況であった。

で、結局買ったのは先週のこと。
やっぱり話題になった本は押さえておかなきゃ…というワケではなく、行きつけの書店の魚本コーナーに置いてあったからだ。

内容は…
各章共に、導入の部分〜真ん中辺りまでは楽しく読むことができる。
が、後半になると、『こんなのもある。こんなのも…』という感じで、動物の体に関する複数の要素の組み合わせパターンを変えただけのように感じてしまう。
ネタとしては非常に面白いのだが。
やっぱり各章後半の未消化感は否めない。

個人的に好きなのは、移動に関わる消費エネルギーに関する話題と、静と動の狭間を行く棘皮動物に関する話題。
前者は同じ距離を移動するのに必要なエネルギーを、様々な角度から切り込んでいる。
例えば、同じ距離を移動する格安コストは飛行だが、同じ時間動く場合、最高コストに変化する等々。
あちらで見れば憂愁でも、こちらで見ればダメという、ドンデン返しが面白い。

後者は『ちょっとだけ動く動物』がなぜ現在も生き残れるのかということについて論じている。
動く頻度によっては、筋肉とは異なる動作のためのメカニズムをも選択する必要があるという辺りが斬新であった。

ちなみに著者は『歌う生物学』も書いている。
僕は人前で歌うのが大嫌いで興味がわかず、まだ読んでいないのだが、話題になった本である。
興味のある人は、ぜひ。

■書籍情報
ゾウの時間 ネズミの時間
本川達雄
中央公論社(1992年)
ISBN:4121010876
714円(税込)
posted by osakana at 03:44| 埼玉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 魚本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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