2005年07月19日

魚話その001 魚の視力

●魚の視力は0.1〜0.6くらい


最近の視力検査は、A〜Dの4段階に分けるようだ。
以前は0.1とか1.2という数字で示していたのだが、それらに範囲を設け、グループにしたようだ。
ところで、我々の視力を示す数字って一体どのようにして計算しているのか?
図1は視力検査でよく見るリングである。
『うえーっ!したぁー!』などと学生の頃に言っていた記憶もあるのではなかろうか?

ランドルト環.jpg
図1.ランドルト環

このリングはランドルト環といい、図1に示した条件を満たす図形である。
ただ適当に描かれているわけではないのだ。
で、このランドルト環を用いて視角と呼ばれる数字を出す。
視角とは、ランドルト環の『開き』を識別できる時の最小幅と網膜の角度(『度』でなく、60等分した『分』を用いる)であり、その逆数が我々の知るところの視力である。

視角の仕組み.jpg
図2.視角

一方、我々との会話を成立させることができない魚の視力測定はどのようにして調べるのか?
主な方法として、2種用いられている。

1.学習によるもの
『2つの点を近づけて、どこまで2つの点として認識できるか?』を調べる。
解像度、高校生物で言うところの分解能の測定を学習行動によって行おうというものだ。
2つの点を描いた絵を見せる→餌がもらえる これを学習させ、2つの点の間を近づけていく。
採餌行動が見られなくなったときの2つの点と網膜の角度が視角であり、それから視力を導き出すのだ。

2.解剖学的手法によるもの
視細胞の分布の具合によって視力をある程度推測できる。
視細胞同士からなる角度が視力と相関があるらしい。
2点を2点として認識するためにはそれぞれの点によって異なった視細胞が興奮し、それらの視細胞の間に興奮しない視細胞が無くてはならない。
人間の場合、3つの視細胞から算出される視角は0.5分であり、視力は2.0となる。
健康な人の視力が1.0〜2.0と考えると、視細胞から算出した視力も、あてずっぽうではないと言えそうだ。

で、実際にいろんな魚での測定から、ある共通性が報告されている。
『綺麗な場所に棲む』『水面付近に棲む』『肉食性である』魚は視力が良いと。
要は視力に依存しがちな生態・環境にいる魚の視力は良いということになろうか。
例えば、これらの条件を全て満たしているバショウカジキでは、0.53なぞという視力持つと考えられている。
ちなみに、僕の現在の視力は0.1未満である。
羨ましいッたらありゃしない。

釣りをしていて思う。
イワナやヤマメ、ハヤなどは水面付近を飛翔する羽虫を捉えることができる。
また、以前アブラハヤが、水槽のフタに穿たれていた10円玉ほどの穴から飛び出したのを見たこともある。
水面とフタの距離は約10cmであり、穴のサイズは体高ギリギリであった。
これらを実行するには、よほどの視力が必要な気がする。
それとも別のメカニズムが働いてるのか…?



今日の魚
アブラハヤ(Moroco steindachneri)

イワナ(Salvelinus leucomaenis pluvius)→FishBaseの画像

バショウカジキ(Istiophorus platypterus)→FishBaseの画像

ヤマメ(Oncorhynchus masou masou)→FishBaseの画像

 
参考文献 
魚の雑学事典(富田京一 他 日本実業出版社)第1版 P95〜97 5次
岩波生物学辞典 (八杉龍一 他 岩波書店)第4版
Wikipedia"視力"


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posted by osakana at 01:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 魚話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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