2005年07月27日

魚話その009 Uターンは無いのか?

●ハリ一考


僕は釣りが好きだ。
特に渓流釣りが好きで、びゅ〜てぃふぉ〜なイワナやヤマメが釣れるともうご機嫌である。
釣り糸も釣竿も大事だが、なにより釣針が大事だと思う。
やっぱりあればかりは代用がきかなそうだ。
たしかに古事記に登場する海幸彦も山幸彦が釣針を紛失したのを知って激怒していた。
海幸彦の場合は因縁をつけるという目論見もあったと思われるが、とにかく釣針が大事だったのは古事記の時代からの共通見解ではないだろうか?
釣竿は木の枝で代用可能だし、釣糸だって、蛾の繭から作ることが出来る。
そもそも年配の人は釣糸のことをテグスと言うが、あれはもともとヤママユガの体液(繭を作る部分だと思う)を酸処理して作っていたものだ。
蛾の繭をほぐして糸にする方法もサバイバルブックに紹介されていたりするから、糸も代用が可能なのだ。
そうするとやっぱり、針が代替不可能な貴重な品に思えてくる。

こんなにくどくど針を持ち上げるのにはワケがある。
釣針というと大体Jの字のフックを思い浮かべる人が多いと思う。

釣り針.jpg
図1.釣り針

というより、引っ掛けるためにアレほど完成した形も無いと思うのだが、中国4000年の歴史は奥が深かった。
なんとI字型の釣針が存在したのだ!
直針と呼ばれている釣針だ。
長い方が2cmくらいの、竹製の弾力に富んだ薄い菱形の板である。

直針1.jpg
図2.直針の模式図

で、どう使うのか?図2中央付近の楕円が穴であり、そこに糸を結びつける。
次いで、図3のようにエサ(麦とか)をつけてリング状にしてやる。

直針2.jpg図3.直針の使用法

これを魚が飲み込むと、エサが外れ、口の中で針が直線に戻る。
こうやって魚を『針にかける』のだ。
釣る効率が悪そうだが、資料が発行された1980年代では中国・フィンランド・カナダのイヌイットでの使用が述べられていた。

余談だが、釣聖としてなぜか崇められている太公望も、そのエピソードの中で直針を使用している。
かの有名な、呂尚(太公望)が水たまりに釣り糸を垂れている光景では、直針を用い、かつ、針を水中に入れていないという。
二重の行為が『まず釣れない状態』を作り出しているようだが、直針も使い方によっては『釣れない』状況から外れてしまっている気がするが…。
とりあえず『直針=釣れない針』と早合点するのはいかがなものかと。
ちなみに『腹水盆に返らず』という言葉も太公望のエピソードから発生している。

とりあえず直針で釣られた魚の気分はどうなんだろうか?
我々で言うところの、喉の奥に魚の骨が引っかかって取れない状況に似ているんだろうか?
なんか喉の奥がムズムズしてきたので、本日は終了。


今日の魚
イワナ(Salvelinus leucomaenis)→FishBaseの画像
ヤマメ(Oncorhynchus masou masou)→FishBaseの画像


参考文献
魚と伝説 (末広恭雄 新潮社版) 第1版P143〜148 4次
釣りの科学 (森秀人 講談社) 第1版P51,P59〜60,P67 5次
冒険図鑑


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posted by osakana at 02:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 魚話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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