2005年07月28日

魚話その10 骨まで愛して!

●骨格を調べる


理科室と言えば人間の骨格標本を思い浮かべるヒトも多いかもしれない。
しかし、完全な魚の骨格については、夕食の皿の上とか、魚の化石を見るくらいで、あまり目にする機会が無いのではないだろうか?
それもそのはず、魚の骨格は互いの結合が弱く、標本を作製しようとすると、ばらばらになってしまうのだ。
しかもパーツが多いので、一度バラけてしまったら普通は手に負えない。
DNAによる分類がもてはやされているが、化石の同定にはやはりホネに関するバックグラウンドが必要なので、骨学は大事なのだ。
専門家にとっては個々の骨レヴェルまで知るのは極めて重要だ。
しかし専門外の僕にとっては、完全体の骨格(特に頭部)を眺められればハッピーになれる。
で、どうするか?
方法は3つ。
1.バラけさせないように骨以外を除去する
 台所用のパイプ洗浄剤を使う。
 これは、タンパク質の分解を行なっているものだ。
 煮ても良いが、下の写真のようにバラけたり、薄い骨などは歪んでしまう。

骨ハ真1.jpg 
図1.煮沸して作った骨格標本

 この類の洗浄剤にはNaOHなどが入っており、強烈にタンパク質を分解してくれる。
 しかもぐつぐつ煮立ってかき混ざることも無く、骨と骨のつながりが残りやすい。
 で、作ったのが下の写真(トラフグ)。

骨ハ真2.jpg
図2.洗浄剤で作った骨格標本

2.骨だけ見えるようにする
 写真3(カジカの一種)がそれである。
骨ハ真3.jpg
図3.透明標本

 この写真を紹介するためだけに今回のネタを出したといっても過言ではない。
 薬品を入手する必要があるのと、時間がかかるのとで、専門外の僕には手出しが出来ない。
 これは魚類の分類をしている友人に作ってもらったものだ。
 この標本のメリットは、解剖が非常に難しい小型魚類の骨格も見ることが出来ること。
 しかも本来あるべき配置にきちんと鎮座しているのだ。
 ちなみに青く染まっているのが軟骨性の骨で、赤が硬骨性の骨である。
3.レントゲン写真を撮る
 これは病院とかに行ってやるアレである。
 やっぱりこれも本来あるべき骨の配置を見ることが出来る優れた手法。
 でも、手間と設備費がかかる。

骨格標本を作るときの注意。
日程をしっかり組んで計画的に作業すること。
行き当たりばったりでやると、作業が中断され、魚が腐る。
特に大型魚は最悪だ。
僕の場合、体長80cmのギンザケ頭部(1kg以上あった)の骨格標本作成を試みて、見事に腐らせた。
夜中に20リットル余の腐敗液をドブに流したものの、間違って道路にこぼし、近所で軽い異臭騒ぎ。
気をつけましょう。


今回の魚
トラフグ(Takifugu rubripes)
torafugu.jpg

カジカの一種(Cottoidei?)
kajika.jpg

ギンザケ(Oncorhynchus kisutch)
sake.jpg


参考文献
魚の分類の図鑑 (上野輝彌 他 東海大学出版会) 第1版P144〜145 3次
分子と人間 (P.W.ATKINS 東京化学同人) 第1版P51 3次


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posted by osakana at 00:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 魚話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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