2005年07月31日

魚話その13 『耳より』な話?

●耳石かく語りき

 
本日のテーマは回遊魚である。
回遊魚と言えば、海を行ったり来たりするイメージが強い。
有名どころ3例を、乱暴だがまとめてみた。
 アユ:河川(孵化)→海(成長)→河川(成長&産卵)
 ウナギ:海(孵化)→河川・湖沼(成長)→海(産卵)
 サケ科魚類:河川(孵化)→海・湖沼(成長)→河川(産卵)
もちろん実際には全ての個体が同じような生活パターンを送っているわけではない。
文献を調べてみると、サクラマスの別名でもあるヤマメは、降海せず河川で生涯を終える個体もいる(陸封という)。
しかも、地方によって降海する雌雄の比率も変化したりと、結構複雑なようだ。
海洋生活には、エサ違い等により成長が早いというメリットがあると考えられており、陸封個体と降海・遡上した個体とでは体格差が生じている。
大型のオスが繁殖のパートナーとして選択されると言う点を考えると、降海・遡上した個体が全て有利なんじゃないか…と思われるかもしれない。
が、
『魚話その8』で書いたスニーキングが絡んでいたりするから面白い。


では現実問題として、どうやって調べているのか?
現地へ赴いて捕まえるというのも一つの手段であるが、他にも手段がある。
木の年輪からいろんな情報が引き出せるように、魚にも年輪が存在する。
その中でも良く使われているのが耳石である。
耳石は、内耳に存在する炭酸カルシウムからなる結晶で、炭酸カルシウムの沈着の季節的変化により同心円状の模様が生じるのだ。
非常に硬く、一度耳石へ取り込まれた物質は累積していくので、『履歴書』にはもってこいだ。
また一日の内でも沈着状況が周期的に変化するので、日輪と呼ばれる模様もできる。
で、さらにさらに。
炭酸カルシウムの沈着とは言っても、純粋な炭酸カルシウムのみが耳石に取り込まれるのではない。
実際には様々な微量元素も取り込まれており、中でもストロンチウムという物質は海で多く河川で少ない。
耳石は生活環境が反映して形成されるので、耳石の年輪中のストロンチウム量の変化から海→河川もしくは河川→海の移動とその時期の推定が可能である。
このようにして、回遊する魚の生活史を推測することが可能なのだ。
耳(石)もいろいろ語りかけてくるのである…おあとがよろしいようで。


今日の魚
アユ(Plecoglossus altivelis altivelis)
ayu.jpg

ウナギ(Anguilla bengalensis)
unagi.jpg

ヤマメ(Oncorhynchus masou masou)
yamame.jpg
 

参考文献
魚のエピソード (尼崎邦夫 他 東海大学出版会) 第1版P45〜56 4次


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posted by osakana at 00:06| 埼玉 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 魚話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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