2005年08月17日

魚話その21 永遠を求めるのは命だけじゃなくてよ…

●標本の裏側


今回の標本は、ホルマリンとかに浸して保存する液侵標本の話。
理科室などに陳列されている液侵標本、一度はお目にかかったことがあると思う。
学校の怪談話でも名脇役だと勝手に思っている。
脱線した。
標本には、種を同定するための絶対的な基準としての標本があり、タイプ標本と呼ばれている。
タイプ標本は火事や地震などのアクシデントに備え、予備も準備されている。
保管場所を別の地域にするなどして、不慮の損失を防ぐのだ。
で、大本の『元祖!』の基準となるタイプ標本をホロタイプ、予備のタイプ標本をアイソタイプと呼んでいる。

さて、国立科学博物館の方から魚類標本作成の裏話を聞く機会があった。
上記のような背景もあり、標本というものは少なくとも200年の保管を目指すものらしい。
ただ魚の標本があればいいのではない。
記載した文字が消えてしまっても困るし、標本が腐ってしまっても困る。
そんな訳で、いろいろと吟味が必要なのだ。
で、実際にラベルに用いているのは墨が最強とのことだ。
かすれて消えないし、退色しづらい。
ただ、手書きだと手間がかかるので、墨を利用したインクカートリッジを専用に開発し、標本のラベルに使用しているのだそうだ。
また、保存液も難しい。
メジャーどころはホルマリンとエタノールであるが、一長一短なのだ。
ホルマリンは固定力が強いが、廃液処理が難しい。
また、最近流行のDNAを標本から取り出してチェックする場合にもホルマリンはよくない。
ホルマリンはDNAを断片化してしまうため、本来あるべき長さのDNAを得ることができない。
少なくとも現段階ではうまくいってないのだ。
その点エタノールはホルマリンの短所をクリアしているが、あまり固定力が高くない。
揮発性が高いのも問題だ。
メタノールも固定液として使用されることがあるが、魚ではあまりメジャーではない。
こうまでして一生懸命保管しようとしても、標本になった魚の色は褪せてしまう。
体色も大事なデータなので、博物館はデジカメで撮影し、デジタルデータとしてデータベースを作成しているとのことだ。
意外なところで活躍している日本の伝統、墨!
古臭いと毛嫌いされている中に、案外発展の鍵が隠されているのかもしれない。


参考文献
魚の自然史 (松浦啓一 他 北海道大学図書刊行会)第1版 P105 3次


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posted by osakana at 00:52| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 魚話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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