2005年08月22日

魚話その22 シシリアーナの憂鬱

●タウナギのお話


京都から知人が来たので、池袋にある本格的な中華料理屋に行ってきた。
初めて行ったのだが、パラパラメニューをめくっていると、『タウナギの辛味噌あえ』の文字が!
うまいのか…?
性欲にも似た、沸々と沸き起こる衝動的食欲と好奇心に素直に従い、『タウナギの辛味噌あえ』を注文することに。
普通に辛口の美味しい魚料理であったと言うことだけ記しておこう。
ただし、調子に乗ると翌日*(←シシリアーナ)が大変なことになる。

さて、そもそも『タウナギってなんだ?』と思う方が多いのではないだろうか?
が、タウナギはウナギの仲間ではない。
ほそっちくてヌルヌルしてるけど、タウナギはタウナギ目という独立したグループを作っており、ちょっと普通の魚とは違っているのだ。
・空気呼吸をする。
・エラブタをもたない。
・ウロコがない。
・性転換する(雌性先熟)。
個々の特徴を持っている魚は結構いるけれど、全てを同時に持っている魚はやっぱり特殊だと思う…。
80cmくらいになる結構大きな魚だ。
中国では『鱚魚』と書かれるタウナギだが、鱚は日本ではキスという別の魚を指す。
字の由来が気になるところだ。
中国では精力料理に使われるから、元気になるのが喜ばしいということなのか?
それとも、空気呼吸するために頭を持ち上げている様子が、歓喜の様子に見えるのか?
また、学名のMonopterus albusだが、mono(一つの)+pters(ヒレ)→背ビレ・尻ビレ・腹ビレ・尾ビレが融合してるからつけられたのだろう。
さらにalbusはラテン語で『白い(アルビノとも関連があると思う)』という意味だが、どこに関係するのだろうか?
白身の魚だからか?
ちなみに、国内最初の持ち込みは、明治45年に当時の天理教教会長であった故・小西清一郎氏によるものとされている。
朝鮮半島へ布教に赴いた際に十数匹のタウナギを持ち帰り、自宅で飼っていたとのことだ。
タウナギは人為的に分布域を拡大したと考えられている。
かつて奈良県の宇陀地方には、『結(ゆ)い』という風習が合った。
親類・縁者の間で田植えに早乙女たちを交換するという習慣で、素足で田んぼに入るため、チスイビルによく吸い付かれていた。
で、タウナギはヒルを食べるので、放たれたという背景があるのだ。
そういえば、アメリカザリガニもヒルを駆除するために放たれた(兼ウシガエルの餌)という歴史がある。
アメリカザリガニと異なり、タウナギは外来種の一般向け書籍では被疑報告が掲載されていないようだ。
人知れず日本に入り込んでいる魚と、マスコミの食い物にされる魚(むしろ肴か)。
どっちも人為的な持込みなのに、この扱いの差はなぁ…


今日の魚+α
タウナギ(Monopterus albus)
taunagi.jpg

アメリカザリガニ(Procambarus clarkii)
チスイビル(Hirudo nipponia)
ウシガエル(Rana catesbeiana)


参考文献
日本の淡水魚 (川那辺浩哉 他 山と渓谷社) 第2版P676〜677 3次
日本の淡水生物 侵略と撹乱の生態学 (川合禎次 他 東海大学出版会) 第1版P87〜92 3次
Oxford Latain Dictionary (P.G.W.GLARE Oxford)


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タウナギを食べるという企画があったので見てみたところ、捌くシーンも出ていた。

どうやら肉は黒っぽいようだ。

ということは、いったい何が『白い』んだろう?
posted by osakana at 06:37| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 魚話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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