2005年09月06日

魚話その26 マウスの裏話はミッキーだけにしてくれ!

●メガマウスにまつわるエトセトラ


久々の更新となってしまった…
放って置いたら小人さんが勝手に書いてくれるかと思ったが、そんなことは無かった。
そんなに多くの人が読んでるわけでもないだろうし、まぁいいか。

今回のネタはメガマウスザメ。
今から遡ること10余年、1994年も暮れにさしかかった頃の新聞のトップに変な魚の写真が掲載されていたのを記憶している人は…多くないだろうなぁ…
つぶらな目をした大口の魚…というより、お化けのQ太郎が魚に変身しようとして力尽きたモノ(※1)を想像して欲しい。
ロケットが月へ飛び、潜水艦が深海に潜りまくっている20世紀という時代、もう世界に神秘など無いのではと思われていた時に、5mもある巨大な魚が発見されたのだ。
『最先端の技術を駆使』していた我々人類にとって、とんだしっぺ返しとなってしまった。
少なくとも魚類関係では、20世紀最大級の発見とも言われている。
また、未だに発見・報告されている個体数も少なく、2002年の段階では全世界で17頭のみとマニア垂涎のレア物なのだ。

さて、メガマウスにはちょっと面白い(でも笑えない)エピソードがある。
発見された当初、メガマウスには当然ながら学名がつけられていなかった。
学名は新種と断定してから通常2年くらいで論文として報告されるのだそうだ。
が、メガマウスの発見者は一向に命名の報告をする気配が無く、周囲の研究者達はヤキモキした。
引用するための論文が発表されないので、他のサメ・魚類・メガマウス研究者達は自分の論文でデータを使うことができないからである。
で、ある日本人研究者が機転を利かせ、偽の論文を作った。
いつまでたっても発表されない論文を出させるために1部だけ作ったもので、世界に報告するためのものではない。
学名の命名は、早い者勝ちなので、『ちょっとだけ遅れをとった』だけでも効力を失ってしまう。
これは国際動物命名規約という条約で定められており、これに従わない命名は学名として認定されないのだ。
だから、皆が注目するような新種の報告だと特に、同業者の論文発表やその噂にはピリピリするのだ。
で、なかなか報告をしない研究者はアメリカ人だったので、偽論文を全て日本語で書き、込み入ったギミック(※2)を施したのである。
まぁ、こんなおちゃめな偽論文ではあったものの、日本語を読めないメガマウス研究者は焦ったらしい。
もっとも、論文が偽物であることにはすぐに気付いたようだが…。

まぁ、こんな裏駆け引きもありつつ、世界で最初の発見から7年の歳月を経て、メガマウスの学名は無事決まったということである。
僕も研究に身を置いてるので、結構この話は笑えないかもしれない。
イタズラとはいえ、自分の研究内容の偽論文が作られたら誰だって焦るって…
いや、まずは論文書けるようなデータが欲しいなぁ、僕の場合…


※1.画像は海の中道海洋生態科学館に詳しい。
で、特に『くわしく見る』をクリックして出てくる写真の左から2番目の写真を見て欲しい。
それと、Q太郎は靴にしか変身できない。
あくまで例えということで。

※2.偽論文に用いたギミックは以下の通り。
   ・全て日本語で書いた。
   ・『屋根裏で発見されたタヌキの死体』という題でメガマウスの写真を掲載した。
   ・megamouthという単語を添えた。
   ・体の各部分の測定データの表を載せた。
   ・測定データはアザラシ等の値だったらしいが…。
   込み入った偽論文を作ったもんだ…僕だったら信じてたかも知れぬ…。


今日の魚
メガマウス(Megachasma pelagios)


参考文献
サメのおちんちんはふたつ (仲谷一宏 築地書館)第1版 P133〜154 3次


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posted by osakana at 01:06| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 魚話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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