2005年09月20日

魚話その29 弘法大師もサバを読む?その2

●サバと伝承


さてさて、間が空いてしまった社会復帰フツーの魚の話の続き。
鯖と弘法大師の伝承。
調べてみると、同じストーリーで弘法大師以外にも行基上人が主人公となる場合もあることが分かった。
で、そのストーリー。

昔、阿波の商人が馬にサバを積んで急な坂にさしかかった。
坂ですれ違った遍路姿の僧にサバを求められたが、貧しそうな身なりの僧を見た商人はとりあわなかった。
するとその僧が
『あふ阪や 八坂さか中 鯖ひとつ 大師にくれ 馬の腹む』
とくちずさんだ途端に馬は腹痛で七転八倒の大騒ぎ。
慌てた商人がサバを差し出して、馬の腹痛を治すよう懇願した。
するとその僧が今度は
『あふ阪や 八坂さか中 鯖ひとつ 大師にくれ 馬の腹む』
と呟き、馬の腹痛を治した。
で、貰ったサバを海に投げると、死んだサバは生き返り、泳ぎ去った。
これを見た商人は信心を起こして大師に帰依し、小さな堂を作って仏門に入ったという。
その堂が現在の鯖大師と称される大師堂であり、遍路姿の僧こそが弘法大師(もしくは行基上人)であったのだ…

この伝承に対し、お魚博士こと末広泰雄博士は、サバの鮮度との関連付けをしながら考察
している。
とにかくサバは中毒のイメージが強い。
『鯖の生き腐れ』と言われるように、サバの鮮度はあっという間に落ちる。
筋肉中にカテプシンと言われる類のタンパク分解酵素が多い。
死んだサバの体内では、自身が持つタンパク分解酵素が自らを分解してしまう。
その際にヒスチジンというアミノ酸の一種がヒスタミンに変化し、それが中毒をもたらす。
冷凍輸送技術がなかったこの時代、このような事態を防ぐため、伝承の僧達があれこれ警告したのではないだろうか?
確かに、行基も空海も全国を行脚しつつ土木事業や生活の知恵を伝えて行ったと言われているし、食中毒防止にも一肌脱いだかもしれない。

でも、伝承に登場する馬のフォローはされてないぞ。
訳も分からずに生臭くて重いモノを運ばされた挙句、苦しい苦しい登り坂でこ汚いボーズに腹痛と回復の呪文でもてあそばれ…umm…

あっ!
タイトルに出てる『サバを読む』についてぜんぜん触れてなかったぞ!
ゆえに続く…。


今日の魚
サバ(Scomber japonicus)
saba.jpg


参考文献
魚と伝説 (末広泰雄 新潮社版)第1版 P123〜128 4次
魚料理のサイエンス (成瀬宇平 新潮選書)第1版 P91〜95 3次


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posted by osakana at 00:18| 埼玉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 魚話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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