2005年10月03日

魚本その3 図説魚と貝の辞典

遅々として進まない魚本紹介コーナー。
別に読んでないわけじゃない。
魚話の文章化に四苦八苦してるだけなのだ…。

さて、不肖ワタクシメが最近ハマッている『魚と文化』に関して集大成とも言えるこの本。
以前紹介した末広恭雄博士の『魚と伝説』を完全にしのぐ情報量である。
個々の魚に対して以下の項目が設けられている。

・和名:全ての種を網羅しているわけではないが、相当数が掲載されている
・普及している漢字表記:地方独自のマイナーな表現は省略されている事がある
・学名:学名はそのまま
・魚の解説:他の項目との重複を避けており、図鑑に表記されている内容と大きく変わらない
・和名の由来:不詳の場合もあるが、大抵掲載されている
・別称/方言:あくまでメジャーなものにとどめてある
・外国名:種にもよるが、英語の他にフランス語など、別の言語も掲載
・利用・生産:水産的事情と、調理法などが掲載
・歳時記:その魚が文学や歌にされていれば、それを紹介している
・歴史・文化:その魚にまつわる伝承や、祭事などの紹介
・釣り:釣りの時期やその方法など

という極めて多岐に渡る資料から情報を収集し、纏め上げたものである事が分かる。
図鑑と辞書が合体した形式といえばよいだろうか?
全ての魚種に対してイラストが入っているというわけではなく、白黒ではある。
しかし、江戸時代の○○で描かれていた△△といったイラストが大量に盛り込まれており、資料としての価値は極めて高い。
また、和名の由来コーナーを各魚に設けたのが僕のハートを鷲摑みにした。
もちろん不詳の魚には不詳と記されているのだが、『最初から和名の由来を調べるぞ!』という心意気がにじみ出ていているのだ。

さて、ここまで多岐に渡る項目を充実させるには、ただの趣味でやってるわけあるめぇ…とおもい著者を調べてみると…
東大総合研究資料館水産部助手を経て千葉県立博物館副館長…
千葉県立博物館といえば、魚類の分類でもかなり有名な研究者が多い。
う〜ん…やっぱりプロが書いていたものだったのか。

ここまで褒め続けだったが、不満な点が2つ。
1つはカラーでないということ。
せっかくフルカラーで描かれた(ものもある)日本画を、白黒で出してしまうのはもったいない。
もう1つは、学名の由来が欲しかったこと。
これほどにまで情報が充実した本なので、なおさら学名の由来も併記して欲しかった。
まぁ、この2点を解消するためには、現在の販売価格では収まらない可能性のほうが高いが…。

他にも前述したような項目が設けられており、『今日食べた魚はどんなプロフィールが書かれているのかな♪』といった楽しみ方も出来る…はず。
また、すし屋に行ってウンチクたれるにも便利な一冊かもしれない。

販売価格は3990円と一般書籍にしては値が張るが、それだけの情報量を持っているので、僕と同じような趣味を持っている人には価格以上の何かを得る事が出来ると自信を持ってお勧めする一冊だ。

  
今日の魚本
図説魚と貝の辞典 
望月 賢二 
柏書房(2005年)
ISBN:4760126570
3990円
posted by osakana at 00:49| 埼玉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 魚本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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