2005年11月02日

魚話その43 ゲージュツの秋?

●科学イラスト


秋も深まってきた。
芸術?食欲?勉強?
いやいや魚でしょ。
そんなわけで久々の魚話。

僕の趣味は釣りやその道具作り、手芸など、もう一個のブログで紹介しているようにいろいろあるのだが、魚の顔のスケッチも好きである。
水族館に通って写真を撮りつつとラフスケッチをし、家に帰ってから黙々と描く。
で、また水族館に行って微妙に訂正をする。
そんな感じで描くので遅々として進まないし、水族館の開館から閉館までずっと水槽の前に貼り付いている。
他の客の邪魔にならないところで作業をしているつもりだが、その姿はさぞ不審に映るであろう。

で、あーでもないこーでもないと言いながら描いていると、こんな感じのイラストが出来上がるわけだ。

オオクチイシナギ
ookuchiisinagi.jpg

ピラルクー
piraruku.jpg

オオクチバス
ookuchibasu.jpg

コツと言ってもいいのか分からないが、イラストは縮小コピーすると線が細くなり、全体的にシマって見える。
だから、目的のサイズよりも大きめの紙でイラストを描くのがポイントだ。
ただし、縮小しすぎると線が細くなりすぎてしまい、頼りない絵になってしまう。
僕の場合だと、70%(元絵の半分の面積)にすることを想定して描く事が多い。
スケッチをすると、対象物をじっくり見ることになるので、結構細かい部分まで覚える事が出来る。
が、いかんせん時間がかかるので、現在はサンシャイン国際水族館を制覇するのが目標だ。

さて、科学論文でもイラストを用いて紹介する事がある。
写真の方が情報量が多いと思うかもしれないが、イラストは余計な情報を排除して重要な情報のみを伝えるのにはもってこいなのである。
そういう意味合いが含まれていたのだろう。
大学の頃にいろんな生物の外観及び解剖図のスケッチをさせられた。
当時は全く意識せず、好きなように描いていた。
しかし、いくら『芸術に決まりはない』という人が多いとはいえ、情報を共有するためのツールとしてイラストを用いる際にはルールが必要となる。
立体的に描いた時の暗色部分が影なのか模様なのか、斑点なのか点描なのか、人によって解釈の仕方が困ると厄介である。
そんなわけで、例を1つ。
図鑑や論文などで図示する際に『一般的にしましょうよ』と提唱した人のルール案である。
以下は稚魚が成長する様子を描く際のルール案(絶対ではない)である。
 ・形成途中の鰭条(鰭の間にある骨みたいな棒)は点線で描き、形成後は実線で。
 ・ウキブクロと脊索(背骨の元)末端部の外郭は点線か破線で描く。
 ・体表の色素胞(色の付いた粒々)は実線で分岐状か星状に描く。
 ・体表の濃密な色素胞は濃い点描で描く。
 ・体内の色素胞は薄い点描で描く。
こんな感じである。
さらに、僕は論文を入手してないので未読だが、具体的なスケッチ法が記述してある論文もあるとのこと。

かつてヨーロッパ諸国が『新大陸』や『未開の地』を探索した際に学者達は絵師を便乗させていたようだ。
日本も絵師とのコラボで図鑑を作成することがあり、そのような資料は科学的価値のみならず、芸術的価値も非常に評価されている。
忠実に再現したいからなのか不明だが、その手の資料の復刊モノは非常に高価な事が多い。
ちなみに、洋の東西を問わず絵画による科学的資料の保管は行なわれていたようだが、日本では標本として実物を残すという文化がなかった。
湿度が高く、一年間の温度変化も激しいため、冷蔵技術の発達しなかった時代にはあまり標本の保存が出来なかったのであろう。

最後に。
科学スケッチにはルール案が出ていることは前述の通りである。
しかし、あくまで『案』であって絶対に守らなければいけないというものではないようだ。
他人と情報を共有するのに便利だから『案』に従っているというのが現状であろう。
基本的には個人の好みでいいらしい。
と、言うことは『科学スケッチ界のマグリッド』とか『生物イラストのピカソ』などが登場するのだろうか…?
いや、ないか…。


今日の魚
オオクチイシナギ(Stereolepis doederleini)
ピラルクー(Arapaima gigas)
オオクチバス(Micropterus salmoides )


参考文献
稚魚の自然史 (千田哲資 他 北海道大学図書刊行会)第1版 P36 3次


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posted by osakana at 23:14| 埼玉 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | 魚話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いやあ、いろいろ参考になるブログだなあ。時折授業のネタに使わせてもらってます、はい。

顕微鏡写真、卒研時代にデジカメくっつけて撮ってたことを思い出した。今できるのかな、と思ってこないだチャレンジしてみましたよ。デジカメがいいのなかったんで、愛用のDocomo FOMA P900iVで(笑)。最近の携帯ってスゴイね。割ときれいに撮れた。なかなか難しいけどね。

スケッチといえば、今年も生徒にいろんなものをスケッチさせ続けています。配るのはB7ケント紙。言っていることは2つ!「実物見て書け」「鉛筆使え」うるさく言いながら、生徒にはぶつくさ言われながら、それでも本格的にやらせてる。まあ、オレの大学時代のスケッチで感動してるくらいだから、たいしたことはないけど…超高校級のスケッチ描く子もいるからね、これからもしっかりやらせたいなと思う今日この頃。
Posted by 椿媛 at 2005年11月10日 22:19
あらま見てたのか。
紹介はしてたけど、アクセス解析って見てても個人が良く判んないしね。

さて。
僕、スケッチって鉛筆使ったことないなぁ。
全部シャープペンシル(これ、書いちゃっても授業に差し支えないよね?)

ただね、全部濃いめの芯(B)使ってる。
で、0.3mm〜0.7mmのを使い分けつつ。

携帯使えるんなら、動画とかもいけるかもね。
実態顕微鏡にくっつけて、産卵とか孵化のシーンとか撮れるかも。
野望は広まります。

さて、現在熊本におりまする。
学会と、魚汁の取材兼ねて。
しばらく更新が滞ったけど、ちゃんとネタははっくつしてまっせ。
請う御期待♪
Posted by taro@管理人 at 2005年11月12日 01:54
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