2011年10月14日

旅モノその34 管理人のいちばん長いホネの日 その2 〜ホネとり物語〜

前回も書いたが,実は展示テーマが決まったのはサミットの1ヶ月前のことだ.

今回は個人出展で申請しており,素人魂というブログ(あんまり影響ないけれど)も伏せておいたため,来場者は完全に『無名の新顔』の展示を見ることになる.
そんな中で漠然と『魚のホネを取りました〜』と全身骨格を表示するだけではインパクトに欠けるし,時間がない.
そこで,テーマを絞って来場者に分かりやすい展示をすることにした.

魚の骨格といえば鯛のタイや耳石,脊椎骨なども考えられるが,来場者は魚好きという保証は全く無いため,却下.
そもそも魚に縁のない人にとっては,ホネ好きと言えどマニアックすぎる.


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ナマズの脊椎骨(上)とキンメダイの『鯛のタイ』(下)


そこで候補になったのは魚の顎.
魚の頭は見かける機会が多い割に,主上顎骨(唇っぽい部分)などに隠れて歯を見ることは少ない.


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アオメエソ(上)とアカアマダイ(下)


サイズによっては見づらいこともあるので,マクロ撮影した写真も掲載し,分類や餌などの各種情報も盛り込むことにした.
ついでにホネだけでは持ち主の形が分からないので,生体の写真も載せることにした.
いくつか隠しネタも仕込んだが,またいずれ触れることに.
全身骨格と異なり,展示物は小さくまとまってしまうため,また,来客が自分なりの視点で傾向を見出してストーリーを作れるよう,可能な限り展示数を増やしたい.

目標は100種類以上.
方向性が決まった段階で手元にあった骨格標本は20種類程度.
撮影や編集の時間も考えると,9月中旬には終わらせたい.


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この作業のおかげで食卓は床に変更


週末にまとめて処理するので,ペースはまちまちだったが,0時頃帰宅してから朝5時頃まで作業し,7時半頃に出勤準備という生活パターンが1ヶ月ほど続き,三十路を迎えた体にはなかなか堪えるものがあった.
『仕事暇なんでしょ?』とよく言われるが,半分は当たり,残り半分は上記の時間帯で作業しているので,何とかなっているのである.
徹夜に強い体で良かった.
もともと短眠だし(3〜4時間で目が覚めてしまう).

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血と涙と酒の結晶・・・


とまぁ自分の老体報告はさておき,ホネ取りが終了し,今度はホネ撮り.
実は組み立ててしまうと個別のパーツの撮影ができなくなるので,はじめにパーツ別の撮影を行った.
撮影したのは左右対称な魚の場合は左側の骨格4種の外側と内側.
レンズの関係で被写界深度が浅いため,三脚の雲台にフォーカシングレールを設置し,ピントを固定したカメラを1mmずつずらしながら撮影していく.
パーツ撮影が終わってから組み立てと完成品の撮影.
この段階で9000枚の写真データができたのだが,展示で使用するのは完成品の写真のみなので,今回は無縁のデータである.
結局完成品の撮影で3000枚が追加され,のべ12000枚の写真データとなった.
ちなみに写真データはJPEGではなくRAWなので,トータルで約200GBほどある.
ここからPhotoshop Lightroomで色調補正とJPEG出力→Photoshopで被写界深度の拡張とトリミング→Illustratorで資料のレイアウト作製となり,最終的に展示資料の総ファイル容量が300GBになってしまった.
なんだかカメラのシャッター耐久試験とPCのベンチマークテストをしている気分である.
サミットが終了した今だから落ち着いているが,当時は4TBある自宅の外付HDDが一気に埋まっていくのを見て,ヒヤヒヤしたものだ.


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展示写真の一例(A4サイズに2魚種で60枚弱)


実はこれと並行して約20ページの配布資料もIllustratorで作製しており,こちらも600MBにのぼり,ウェブ配布は断念.
自宅のレーザープリンターで地道に印刷し,約2000ページ刷ったのだが,ある事情により一般配布をやめた.
このままでは悔しかったので,身内用には業者に製本して配り,一般配布用はネタ供養のために魚話の『供養企画』に繋げることにしたのであった.
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2011年10月13日

旅モノその33 管理人のいちばん長いホネの日 その1 〜序〜

2011年1月2日,関東某所.
さるメンバーに招待され,ホネ三昧の新年を迎える.
その時に『いやぁ,ほねほねサミットがまたあったらゼヒとも参加したいですなぁ,ガハハ.』と,ほろ酔い気分で宣った記憶がある.

2011年2月,自宅.
アクアトトぎふで行われた『ホネホネ合宿IN岐阜』の参加(後に病欠)手続きを行っている一環でほねほねサミットがどうも行われるようなことを知る.

2011年7月24日,幕張メッセ.
ワンダーフェスティバル会場でGalvanicの骨オヤジ氏と会い,第2回ホネホネサミットこと,ほねほねサミット2011の開催が確実になったことを知る.

2011年8月上旬,自宅.
なにわホネホネ団のサイトでほねほねサミット2011の告知開始.

2011年8月30日,自宅.
締め切りぎりぎりでほねほねサミット2011に滑り込む.

2011年9月上旬,自宅.
具体的な展示ネタがようやく見つかる.

2011年9月中旬,自宅.
半ベソかきながら3時間睡眠で準備を進める.
晩酌しつつホネ取りとホネ撮りと書きモノをしていると,ホネホネ☆発表会の講演依頼が来る.

2011年10月上旬,自宅.
1日おきに完徹して準備の追い込み.

2011年10月7日,自宅.
サミット前夜.
最後の追い込み.


そして,ながいホネの日が始まる….
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魚話その186 軟骨と硬骨のあいだ rot

●軟骨魚類の石灰化


供養企画第二弾かつ,約10ヶ月ぶりの続編.
軟骨魚類といえば,雑学系書籍に『全身が軟骨だから,大型のサメでも包丁で切れるほど』といった文章が掲載されることがある.
確かに我々が認識する,リン酸カルシウムで構成される『硬骨』は持たない.
ところが,軟骨魚類も石灰化した(=カルシウムが沈着した)パーツを持っている.
どう表現したらよいか…
図1に記したような,硬骨の間に軟骨が挟まるというのが,我々の‘硬骨/軟骨観’ではなかろうか.


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図1.関節の模式図


ところが,軟骨魚類の背骨部分のそれは,軟骨の内側が石灰化している.
魚類関係の教科書にも掲載されているのだが,意外と図版は少なく,カラーの画像はさらに少ない.
そこでこの際自分で撮影してしまえ!ということで,サメの骨格を調べることにした.
イタズラ好きな僕としては,このテの,常識とちょっとズレたネタを準備している時が一番楽しいのである.

さて.
長い前置きはここまでにして,手元にあったドチザメの背骨を用い,染色してみた.
用いた染色液や原理は最近流行の透明標本とまったく同じ.
要はスライスした脊柱をアルシアンブルーとアリザリンレッドで染め分けただけ.
薬品のくわしい話は魚話その**に書いたとおりだ.

早速結果を見てみよう.


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図2.ドチザメ脊椎骨の染色標本 a)未処理の脊椎骨,b)アリザリンレッドおよびアルシアンブルーによる染色.aに振った番号とbの切断方法と合わせてある.bの一部が崩れているのは,薬品処理中に撮影し,分解が進んだため


赤く染色された部分,すなわち石灰化部分のパターンはかつてサメの分類にも用いられていたようだが,『複雑なので今はあまり行なわれていない』ともある….
断面によってパターンが変わるので,どこをどう切るかの統一やデータの検索も難しいのだろう.

別の用途もある.
この断面に注目して欲しい.
筋のようなものが見えないだろうか?
おそらくこれは年輪と思われる.
実際に検証した訳ではないので鵜呑みは厳禁だが,X線写真で浮かび上がる軟骨魚類の年齢査定のパターンとよく似ている.
耳石や鱗など,硬骨魚類では年齢を査定できるパーツはいくつもあるが,軟骨魚類の場合は硬いパーツが限られている.
ツノザメの仲間など,背びれに棘を持つサメではその模様にも年齢とリンクしたリングが現れるが,棘を持たないサメのことを加味すると,脊柱の方が汎用性は高そうだ.
ただし,棘の場合はサンプリング後に放流できるので,一長一短ではある.


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図3.アリザリンレッド染色により浮かび上がった筋模様 a)未処理の脊椎骨,b)アリザリンレッドおよびアルシアンブルーによる染色,c)図3b点線部分の拡大写真.aに振った番号とbの切断方法と合わせてある.年輪とおぼしき部分を矢印で示した.



注意点を一つ.
他にふさわしい言葉が思いつかなかったので『年輪』と書いたが,1年で1つ筋が入るかが不明である.
仮に鱗や耳石などと同じであれば,最初の年にどのタイミングで冬眠を挟むか等々の条件で本数が変わる可能性がある.
また,削り過ぎによる年輪の消失や切削器具による傷と年輪を誤認することにより,年齢査定を誤る可能性があるので要注意だ.
とはいえ,何らかの周期で暦を示す形質ではありそうだ.

周囲がぼちぼち三十路を迎え,友人達も年齢をかなり気にし始めた.
僕は昔から年上に見られることが多く,ようやく年齢が追い付いてきたという気分なのだが,世間一般ではそうでもないらしい.
迂闊に年齢を尋ねることも憚られる昨今.
その点,魚の年齢は気軽に尋ねることができるので,非常に気が楽である.


本日の魚
ドチザメ Triakis scyllium Müller & Henle, 1839

参考文献
河川の生態学 補訂改装版(水野信彦 他,築地書館)
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2011年10月12日

魚話その185 もめない程度に撮りたいな Phase 2

● 小さな骨格標本のマクロ撮影法


供養初回は撮影に関して.
ホネ取り以上に日が浅いのでここで触れるのは畏れ多いのだが,本サミット参加のための撮影を機に使ってみて当たりだった商品を紹介.
一つ目は照明.
小さい骨格標本はマクロ撮影が不可欠だが,光学的な問題やカメラ本体の陰により,かなり暗くなってしまう.
マクロ撮影はカメラと被写体が近いことが多いので,フラッシュや卓上スタンドは使いづらい.
また,観察に適切な明るさにするためには絞りを開くか,ISO感度を上げるか,編集で加工するかのいずれかを選ぶが,いずれもやり過ぎるとノイズまみれになってしまう(実例は魚話その177).
そこで便利なのがリングライト(図1).
通常の照明と異なり,レンズが照明の中央に来るので,カメラ自体の影をどこにも作らずに撮影ができるのだ.
ワンフェスなどのフィギュアイベントではこのテの機材を持った『おっきなおともだち』をよく見かけるが,骨格標本系のイベントでは余り見かけない.
数万円する純正品と異なり,GODOX製などサードパーティー製は数千円で購入できるので,お勧めだ.


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図1.リングライト a)リングライト一式,b)SONY製ミラーレス一眼NEX-5 + Tamron SP AF60mm F/2 Di II LD [IF] MACROに装着,c)Canon製コンデジPowershot G10に装着 NEXはホットシューがないので,シューブラケットを使用.Powershotはレンズメイト製アダプターを使用.


2つ目は撮影環境.
ホネの撮影で一番簡単なのは机の上に置いてしまうことだが,その骨格の特徴を最も表している角度を写せるとは限らない.
また,ホネは白っぽいことが多く,暗い色を背景にした方が見やすいのだが,背景とホネが近いと背景の模様が写り込んでしまうことがある.
そこで段ボール箱と黒い布を用意し,ブースを作る(図2a).
こうすることで,ホネの背景が真っ黒で,かつ,被写体から離れているため模様が写り込まず,真っ黒い舞台を用意することができる.
サイズの関係で床置きしなければならない場合も,黒い布を敷き,小さな土台を使ってホネを少し浮かせてやると,模様なしの真っ黒い背景になる.
さらに黒い粘着式の綿棒と洗濯ばさみで撮影台を作った(図2b).
粘着ゲルが凹凸にフィットし,きちんとバランスを取れば,そこそこ大きなホネまで支えることができる.
しかも綿棒が黒っぽいおかげでホネ撮影の邪魔にならないのだ.


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図2.撮影セット a)撮影ブース,b)撮影台,c)撮影の様子


最後は編集ソフト.
骨格標本のように起伏に富んだ立体物のマクロ撮影を行うと,被写界深度が足りず手前もしくは奥がボケることがある.
特にコンデジと異なりデジタル一眼はセンサーサイズが大きいせいで,画質が良い反面,被写界深度が浅い(ボケやすい)という弱点がある.
芸術作品ならばボケも表現手法の一つになるが,科学情報としてのボケは時として邪魔になる.
研究室や手元にCS4以降のPhotoshopがある人はその中にある『被写界深度の拡張』機能を使用すると便利だ(図3).
この辺りは魚話その169に書いたので,参照して欲しい.


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図3.『被写界深度の拡張』の実例(メダカ頭骨) a〜e)手前から奥にフォーカスをずらして撮影,f)写真を合成 詳細は魚話その169に.スケールバーは1mm.


ちなみに『そんなのデジタル一眼を持ってないと意味ないじゃない』『買えば全部解決って言いたいんだろ?』とツッコマれるかもしれないが,ブックエンドと本でこの通り(図4).
画像編集だって高価なAdobeのソフトが無いからできない訳ではなく,GIMP,Combine ZMやImage J等のフリーソフトで画像編集や被写界深度の拡張合成を行うことは可能だ.
要は工夫と情報収集にどれだけ労力を割くかに依るところが大きい.


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図4.リングライト使用の一例 使用デジカメはIXY Digital 500.a)ブックエンド,b)装着例(側面),c)正面 このデジカメにはホットシューもレンズアダプターも付いていないが,工夫次第でいくらでも使用可能だ.


冒頭で事故が起こらなそうとは書いたが,今回のネタだって充電中に感電するかもしれない.
『まぁそこまでは気にするなよ』と考えてくれる人だけ読んでくれれば良いと思っている.


本日の魚
メダカ Oryzias latipes (Temminck et Schlegel, 1846)

参考文献
Combine ZMの使い方(丸山宗利 研究室HP)→リンク
posted by osakana at 01:57| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 魚話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

魚話番外編 ホネホネサミット配付資料供養企画〜序〜

ホネホネサミット2011にてブース参加&講演を行なってきた.
実は骨格標本のHow to本を配布する予定だったが,学生が『混ぜるな危険系薬品』を混ぜて有毒ガスを発生させた事件が生じたため,配布を自粛し,博物館や水族館関係者など,設備が整っている場合に限って配布した.
しかし,できるだけ読みやすいように『項目は見開きで完結させ,ページをまたがない』『言葉を極力改行で分断しない』等のルールを設けて書いたので,微妙に心残りもあったりする.
そこで,資料の供養も兼ね,安全そうなパートに関しては加筆修正しつつ掲載していくことにした.

興味・訂正・より素敵なネタがあれば,是非ともメールにご一報願います.
posted by osakana at 00:42| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 魚話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月11日

【予定は】予告【未定】

ホネホネサミット2011に関わった皆様,お疲れ様でした.

最近某所で起きた事件を配慮し,資料の一般配布を控えておりましたが,当方のブースに来て頂いた方に何かできないかと思い(ついでに当たり障りのない部分の供養もしたい)魚話に何話か連続掲載したいと思います.
せっかく知り合った方が私の名刺を見てブログに来ていただいたのに,8月から更新されていないのもみっともないので.
しかし,過去の魚話の更新履歴を見て頂ければ分かる通り,極度の遅筆で更新がいつになるか分かりません.
とりあえず1つだけでも本日24時までににアップしたいものです.
お,何かのフラグが立ちました.
posted by osakana at 10:22| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 筆者からの連絡 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月18日

所用につき10月中旬まで更新が止まります(たぶん)

所用につき10月中旬まで更新が止まります.

ついでに別の連絡です.
正確な話数は忘れましたが,実はこのブログは魚話その150あたりから本文(タイトル,副題,図表のレジェンドと引用文献除く)の字数を1200以上1300字未満にするというルールを設けて遊んでいます.
初期の魚話はわりと短いものが多く,すぐに飽きてやめるだろうという自己分析もあり,そんなに長く書いていなかったのですが,できるだけオチは変えないようにして情報を追加し,魚駄ネタ提供サイトとしてもう少しがんばってみたいと思います.
なお,更新が済んだものに関しては,魚話の通し番号を3桁表記(1→001)に変える予定です.
現在001-005,008,009がアップされていますが,これはまだ上記の体裁が決まっていない頃にアップしたものなので,再編集する予定です.

posted by osakana at 09:59| 埼玉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 筆者からの連絡 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月18日

魚の死骸が欲しいです

急募


骨格標本用に魚の死骸を無料で譲っていただける方を募集しております(特に頭).

現在欲しい魚種として・・・

・ハイギョ各種(できれば60センチ以上の大型個体)
ニザダイご協力ありがとうございました
ウツボご協力ありがとうございました
・ガー各種
パイク(熱帯魚店にいるガーパイクではなく,カワカマスの方です)ご協力ありがとうございました
ピラニアご協力ありがとうございました
ポリプテルスご協力ありがとうございました.
ペーシュ・カショーロご協力ありがとうございました.
・タイガーフィッシュ→FishBaseの画像


完全に趣味というか,骨格を観察してみたいという好奇心に基づく極私的理由の募集ですが,ゴミ箱に捨ててしまうよりは有効活用できると信じております.
食用魚は近所の市場に頻繁に通って入手できるのですが,観賞魚/非食用魚になるとちょっとお手上げ状態です.
もしお譲りいただける方は下記のメアドまでご一報ください.


osakanabanashi(a)hotmail.co.jp
※スパム防止のために(a)に変更してあります.半角@に変更して送信してください.

よろしくお願いいたします.

素人魂〜特濃魚汁〜 管理人 osakana
posted by osakana at 22:02| 埼玉 ☁ | TrackBack(0) | 筆者からの連絡 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月14日

残暑お見舞い申し上げます

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エイプリルフール用に作ったんですがねぇ,地震がなければ・・・.
貧乏根性丸出しで,リサイクルです.

※デザインのパクリとか言われても困るので,ディテールを変えるためにIllustratorでゼロからちゃっちゃと作ってみました(暇人).
posted by osakana at 15:12| 埼玉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 筆者からの連絡 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

魚話その184 あの日見た魚達の名前を僕はまだ知らない

●種同定とかシノニムとか


生物は菌/植物/動物といった大きなグループ『界』からその生物を示す『種』まで,『界→門→綱→目→科→属→種』と何段階も改装が作られ,多くの場合,最小単位である『種』に名称がつけられている(亜種や地域個体群は除く).
普段気軽に使っている『種』の名称,すなわち『これは●●ウオだ』と言うのは実は厄介だったりする.

国内の魚種同定用書籍としては,クニマスで話題になった中坊徹二教授の『日本産魚類検索 全種の同定』が有名だ.
全く見当がつかない前提で生真面目に魚種を調べると,図1,2のチェックを経てアカガレイという名称に落ち着く.


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図1.科の絞り込み(中坊徹二・日本産魚類検索 第2版より抜粋/一部改変)

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図2.科から種への絞り込み(中坊徹二・日本産魚類検索 第2版より抜粋/一部改変)


中略が多いのは,科への振り分けで100ページ,科→種への振り分けで1300ページもあるためだ.
ただし,着目すべき部位が分岐点毎に線画で図示されており,1ページに占める字数は極僅かだ.
また,次の項目を見るのに数百ページ飛ぶのはザラなので,実際には10ページほど見れば済む.

ここから分かるように,魚の写真を見せて『これ,何?』と聞く際に,魚種によっては1枚だけでは不十分だったりする.
身近な例ではアンコウがそうだ.
魚話その163で触れたが,外観の写真だけではアンコウとキアンコウを見分けるための『棘の形』も『口の中の模様』も見えない(図3).
漠然と撮影していると,種同定のために見たい部分にピントが合っておらず,使い物にならなかったりする(図3b).
すごく慣れればパッと分かるかもしれないが,それでも押さえておきたい情報がある.
自分で撮影した魚の写真を引き伸ばし,どの部位でも鱗を一枚一枚数えられるか,側線の場所を把握できるか試してみるといい.


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図3.キアンコウの外観 a)全体像,b)図3a白点線部分の拡大(ピンぼけして見えない)


もっとも,この書籍とて万能ではない.
最新情報を常に論文や学会等でチェックする必要がある.
学名の命名には,最初の命名者が優先される.
ところが,様々な事情により,別の名前をつけてしまうことがある.
ggrksと突き放したいところだが,種の記載は数百年前より行われており,また,現代においても,古文献の電子検索は完成したとは言い難い.
したがって,『広く使われていたが,よく調べたら,より古い文献に別の名前で命名されていた』ことや『生態が良く分からず,雌雄や親子の形態の差が著しく異なるために別種として扱われてきた』というのもあり得るのである.
こういった名称をシノニム(別名)と呼ぶ.
調査者が古文献内の別名での使用に気付けるよう,リストとして残していくのだ.
例えば東アジアの食材として有名なタウナギのシノニムをFishBase(魚類データベース)で調べると,表1のようになる.


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表1.タウナギ(Monopterus albus)のシノニム


注意書きには書き間違いなどを含めた理由が書かれており,なかなか興味深い.

魚に興味がない人からすれば『正確な名前なんてどーでもいい』話である一方で,僕のように『研究対象が1種類だと思ったら,何種類も混ざっていましたという事態を避けたい人』もいる.
また,近縁種に有毒種がいる場合も慎重になりたいところ.
きちんと種レベルまで落とさないと気が済まないアレな人は別として,業種によっては由々しき問題に発展しかねないのである.
とはいえ,本書は高価なので,一般向きではない.
通常の図鑑でも案外問題なかったりするので,妥協点の見極めが必要だ.
それでも気になる場合は,同定に使用した参考文献を掲載しておくと良い.


〜追補〜
中坊徹二教授の『日本産魚類検索 第2版』は出版からかなりの年月が経過しており,第3版がそろそろ出るのではないかという噂もウェブ上でちらほら見かける.
現在の分類体系は第2版の情報では古いのだが,今回は種同定の過程を示すため,あえてそのまま使用した.


本日の魚
アカガレイ Hippoglossoides dubius (Schmidt, 1904)
キアンコウ Lophius litulon (Jordan, 1902)
タウナギ Monopterus albus (Zuiew, 1973)


参考文献
日本産魚類検索(中坊徹二,東海大学出版会)第2版
FishBase→リンク
posted by osakana at 14:01| 埼玉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 魚話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする