お盆だ。
この時期になると怪談とか怖い話の特番が組まれていた気がしたが、最近はどうなのだろうか?
僕はお化けを信じてないが、本当にいたら怖いという気持ちが強い。
あ、これも信じている範疇に含まれるか。
一方、解剖とか手術など、スプラッター系のシーンに遭遇しても割と平気である。
昔から釣った魚を食べるために捌いたりしてたので、あんまり恐怖の対象にはならないのだ。
ところで、臓物系(?)を表現するために腸が用いられることが多い。
一目見れば内蔵と分かるし、描くのも簡単だからだろうか、このテのシーンではジャンルを問わず引っ張りだこだ。
前置きはこんなもんで。
腸といえば、栄養分を吸収する器官として知られている。
様々な消化器を経て細かく分解された食物を腸の表面で吸収するのだ。
せっかく入手した食物なのだから、可能な限り取り込みたい。
そのためには、吸収する部分の面積、つまり腸内の表面積を大きくする必要がある。
腸を長くすれば表面積も増えるけれど、体内に納めるには容量の限界がある。
そのため、腸の体積を増やさないようにしつつ表面積を増やす方法として採用されたのが、腸内の凹凸であると考えられている。
高校の生物の授業で表面に突起があってウンヌン…という説明を受けた記憶がある人も多いのではないだろうか?
デジカメのファイルの整理をしていたらラットの小腸の顕微鏡写真を見つけたので、ちょっとそれをアップ。

Fig.1 ラットの小腸(HE染色)
―で囲まれたのが上の文章で紹介した凹凸の一つで、柔突起という。
さらに細かくみると柔突起の周りに微柔毛と呼ばれる凹凸もあるのだが、この写真レベルでは見れない。
ところがサメやエイの場合、腸の構造がちょっと違っており、腸は太くて短い。

Fig.2 螺旋腸外観(ドチザメ)

Fig.3 螺旋腸外観(淡水エイ)
しかし、中に螺旋弁と呼ばれる仕切りがあり、外観よりも長い距離の通路を設けているのだ。

Fig.4 螺旋腸の概略図
イメージはオシャレな建物(だけじゃないけれど)で見られるらせん階段か。
さっそく実物を見てみようか。

Fig.5 螺旋腸内部(ドチザメ)

Fig.6 螺旋腸内部(淡水エイ)
食物が通過する部分を青インクで染めてみた(ドチザメのみ)。
どんな感じの渦になっているのか、なんかパテみたいのを流して型を取ってみたかったが、余裕がなかった。
チャンスがあったら、どっち向きになっているのか、そもそも本当に螺旋なのかなど、いろいろ調べてみようと思っている。
余談だが普通に切ろうとすると腸は柔らかいので、こんな風に形を保って切るのは難しい。
そのため、75%エタノールに3日間浸し、固定している。
アルコール漬けの標本は、一度固まってしまうと戻せない(あるとしても僕は知らない)ので、全体像を捉えられるようなポーズで浸さないといけない場合もある。
それを逆手に取ってみたらうまくいったのだ。
ちなみに螺旋の巻き方(螺旋弁の密度とでもいうのかな?)によって3タイプに分けられるという。
巻き方の緩い順に巻物型、環状型、螺旋型と。
参考資料に掲載されていた各タイプの例を見る限り、今回の2種ともに環状型に属していそうである。
先日、避難訓練をやったのだけれど、垂直式救助袋なるものの実演をやっていおり、『ああ、あれが螺旋弁の中を通るって感じなのか…』と一人思っていた。
もっとも、本当にサメに飲み込まれたら、ただ消化されるしかないのだが。
できれば顕微鏡写真を撮影し、哺乳類の表面と比較してみたかったが、染色するための設備が自宅には無いので、そのまま腸は廃棄してしまった。
ところで、螺旋弁はサメの専売特許ではない。
シーラカンスやハイギョ、チョウザメの仲間も螺旋弁を持つのだ。
個人的には実物を見てみたいのだが、生体を殺すのは好きではないので、死体待ちといったところだ。
う〜ん残念!
今日の魚
ドチザメ(
淡水エイ(Potamotrygon motoro)→FishBaseの画像
参考文献
古代魚総覧 (五十嵐利明 他 ピーシーズ)第1版 P18 4次
サメの自然史 (谷内透 東京大学出版会)第1版 P63-65 2次


こっちは生徒は夏休みとはいえなかなか忙しいです。で、まずはツッコミから。
「普通に海岸でサメを拾えるんかいっ!」
不思議な生活を送っていらっしゃるようで・・。久々に寄らせてもらったんだけど今回もなかなか面白い着眼点でいいですね☆
次も期待しています。
あと最後に。ラットの写真は、やっぱあのときのやつなのかな?ではまた。
ちょっと荒れた翌日とか普通に落ちてるよ。
螺旋腸は、ホルマリン固定すればもっときれいに切断できたんだろうけど、廃液処理が面倒だからね。
そのうち顕微鏡写真もアップしたいんだけどね。
残念ながら、切片作る設備が自宅に無い。
ラットはあの時のヤツ。
とりあえずゴールデンウィーク以来休息が一切無いので、そろそろ疲れ気味。
現在、盆と正月がなかったのが心残り。